第45話

「ぐああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 三日月は苦しみのあまり絶叫した。

 肩で息をするくらい体力を消耗しているようだ。

 近寄ろうとするかずさを三日月は来るな! と止めた。

「君を傷つけたくない……」

 その場にかずさは立ち止まって、また魔法を止めようと試みる。

 燐光に包まれながら、伸ばした両手の血管がメリメリと浮き上がる。

「くっ……!」

「とまってよオオオ!!!!」

 何もできなかった。

 腰が砕けて地面にへたり込んだ。

(なんでよ……)

「とまってよ、お願いだから……」消え入りそうな声を出す。

 土をつかんで握りしめる。

 地べたに指の跡がつく。

 

 老婆が暗闇からスッと現れた。

「可哀想に……」

 老婆は倒れている狼人間達の頭や、体を一人ひとり優しく撫でた。

 三日月は老婆をじっと見ていた、静かな目で老婆も絶望にうちひしがれた獣の姿をした人間を見た。

「白道さま……ごめんなさい、俺を……殺して下さい、みんなの所にいかせてください」

 老婆は目を閉じて、

 そして、

 かずさの方を見る。

「お嬢ちゃん、こいつを助けたかったら月の力を使えるようにしてきな! 三日は時間を稼いでやるけど、それ以上はもたないよ! 死ぬ氣でやりな!」

 かずさは顔をあげて老婆に言う。

「扱えるようにってどうすればいいの!」

「制御が全然できなくて……」

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