第35話
まだできたばかりの真新しいもののようだった。
三日月は盛り上がった土の前に立ち止まった。
「これは?」
「俺が埋めたんだ、逃げてくる時に殺した仲間たちと、死んだ女の子を」
「氣が引けるだろうけど、確かめてみましょう」
あさぎが木の枝で、三日月は狼の姿になって、土をどけていく。
土じゃない物が顔をだした。
乾いた土の中に埋められていたから、まだ白骨化していない。
案の定、魔法の媒介になっていたようだ。
あさぎは、文字を消す。
「これで先に進めるはずよ」
二人は丁寧に掘り返した土をもとに戻して、その後、手を合わせた。
進んでいくと地下の水路に行き当たった。
「水が流れている」
水流の音が聞こえる。
そのまま行くと、天井の穴は無くなり月の明かりが消え失せたが、闇の中に緑色の光るものたちが蛍のような小さな光を灯して壁をうごめいていた。
「精霊だ」
そのものたちの明かりで、なんとか視界を闇に奪われることなく進められたのだった。
岩の柱がなめらかに伸びた飴のような形でそびえる。
広い空間にでた。
水が溜まっている。
地底湖だ。
天井には先ほどの精霊たちがいて、星空が地下に広がっていた。
水中にも精霊がいて、ほの明るく光っている。
湖の中央の陸地に大きな木が一本立って、淡く光を発していた。
大樹の緑の影が光と共に揺れている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます