第34話

「かずさ!」

「おい!」

 かずさを飲み込んだ穴は消えた。

「ちょっとなによあれ!」

あさぎは長い髪をふり乱す。

「俺もわからん」

「とにかくこの森の魔法を解くわよ」

「どうすればいい」

 



薄く目を開けると、月が見えた。

「あ、……たしか……落ちて」

 かずさは上体を起こしてまわりを見渡した。

 上にはポッカリと穴があいていて、そこから月の光が落ちていた。

 地面は砂で、まわりの土壁はうねるようにぐにゃりとした形をしていて、狭い道が続いている。

「不思議な場所……二人はどうしたのかしら」

 魔法は?

 氷を操る魔法はあいかわらず使えなかった。もう一つのほうは……大丈夫だ。

「とにかく二人と合流しなきゃ」

 



「何処かになにか刻印か、力の源みたいな物があるはずなんだけど……魔法陣とか何かの死体とか」

死体? まさか……

 三日月はそれに心当たりがあった。

「もしかしたら、わかったかもしれない、ついてきてくれ」

 あさぎが三日月について行くと、不自然に盛り上がった土が幾つか並んであった。

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