第33話
梢を揺らす木々たちはまるで生きているようだった。
「おかしいな」
あさぎ「どうしたの?」
「ここがどこだかわからん」
「ちょっと」
かずさが振り向いた。
「なんだか同じ道をぐるぐる回っているような、ある程度したらまた同じ道に戻っている氣がしないか?」
「ちょっと試してみましょうか」
あさぎはポケットからハンカチをとりだして木の枝にむすびつける。
またしばらく歩き続けると、まっすぐ歩いているはずなのにさきほど木にむすんだハンカチがあった。
「もしかしたら、魔法がかけ直されているのかもしれないわ、それに……氣づいた?かずさ、ここ魔法が使えないわよ」
「嘘でしょ?」
かずさは人差し指を立ててピッと下生えを指さした。
いつもなら指の先から冷氣が飛んでいくのにでてこなかった。
「まずいよこれ」
「向こうの罠にはまったみたいよね……こんなんで相手方に会ってもどうにもできないわよ」
あさぎが言っているとかずさは何かを確かめていた。
「まって、こっちの魔法だと使える氣がする」
かずさは右手を伸ばす。
「月の光よ、我を導き照らしたまえ」
かずさを中心にして淡く青白い光が地面からホワリ、丸い光が数個ふわふわと出現する。 髪の毛が重力を失ったかのように持ち上がって揺れていた。
あさぎはかずさを見る。
「それ使えても戦えないでしょ」
「そうだった、えへへ」
とかずさがおどけると、かずさは穴に落下した。
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