第31話

「ほんとですかそれ?」

 かずさは半信半疑に聞いた。

「信じたら本当にそうなるんだよ」

 言いながら男の人はカウンターに戻って珈琲アイスをだしてくれた。

 アイスクリームに三人は舌鼓を打った。

カランカラン。

「おはよー……」

 長い黒髪にスラリと伸びた手足、印象的な大きな瞳、小さな顔、どこかで見たことがある人だとかずさは思った。

「おはよ」

 天然パーマの人に挨拶をした後、その女はチラと三人の方に目をやり、その場に立ったまま固まって凝視していた。

 かずさはその顔を思い出した。

「あ」

 かずさのあ、に反応してあさぎと三日月も入り口の方を見た。

「あ」

「あ」

 この前、戦った、炎使いだ。

「あ、あんたたち……」

 立ったままの女が口を開くと天然パーマの人が声をかけた。

「舞ちゃんどうしたの?」

「いや……」

「あの……」あさぎが言いかける。

「あ、学校の友達?」

 と天然パーマの人は笑顔になった。

「そうだ! 君たち今回無料にしてあげるからさ、舞ちゃんの料理の練習につきあってくれる? まだ食べられるよね、若いんだしさ一杯たべないとね」

「え……あの……」

 かずさとあさぎはしどろもどろになる。

 三日月は黙ったまま舞を見つめていた。

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