第30話

あさぎは台所に向かいながら振り向いた。

「そういう問題じゃない!」

三日月は姉妹のいたずら好きに辟易する。

 あさぎはパンッと手を叩いた。

「そういえばこの前、美味しい珈琲をだす店を見つけたの、三人でいきましょうよ」

 あさぎは嬉々とした声をだした。

「お昼はそのお店にいきましょ」


 ドアを開けるとドアベルがチリンと鳴って迎えてくれた。

 店の中は木調でこじんまりとしたたたずまいの店だった。

 テーブル席に三人で座ると、天然パーマの男の人が水を出してきた。

「決まったら言ってね」

「じゃあ、珈琲三つ」

 とあさぎが言うとかずさが、

「私はメロンフロートがいいな!」

「ごめんなさい、あいにくメロンフロートはおいてないんだ」

 と天然パーマの男性が言うと、

「じゃあたーのまないっ」

 まわりにいる三人(帰れ)


「ね! 美味しい珈琲でしょ」

 とあさぎは言ったが、三日月には珈琲のうまいまずいがわからなかった。

「わからん」

「にがーい」

 天然パーマの男性が話を聞いていたのか苦笑しつつ話しかけてきた。

「その珈琲には魔法がかけてあるんだよ」

「どんなですか?」

 あさぎとかずさは興味を持った。

「美味しくなる魔法ね、美味しくなあれ、美味しくなあれって言いながら淹れるんだよ、するとさ不思議と美味しくなる」

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