第29話
「それから逃げてきて、今ここにいるってわけね……」
あさぎはソファに腰掛けて腕を胸の下で組んでいた。
「ああ」
かずさも姉の横に腰掛けている。
「あなたは仲間たちをとめたい、あなたの仲間はあなたを始末したい」
「きっと向こうから俺を狙って動き出すだろう、その前にこちらから動く」
「私たちが手伝ってあげる」と、かずさが言うと、
「いや、遠慮する」
三日月は冷たくあしらった。
「なんでよ!」
かずさは口をとがらせた。
「これは俺の問題だ、俺自身が解決しなければいけない、せっかくだが手出しはしないでもらいたい」
「あなた、今仲間もいなくて一人で何ができると思っているの? 一人でできることってたいしたことないのよ? 使えるものは利用した方が利口だと思わない? そのほうが目的を達成できるんだし」
三日月はあさぎの返答を聞いて黙りこむ。
「人に頼るって大切だと思うわ、私も人に頼るのは苦手だけど一人でなんでもかんでもやるってわけにいかない、それに誰かがさらわれているんでしょ、そんなの見過ごせない」
あさぎはきっぱりと言い放つ。
「悪いやつはお仕置きしないとね」
「こらしめないと」
「おねえちゃん、麦茶だしてあげたら?」
「いいわね、美味しいやつね?」
あさぎとかずさはにやりとしている。
二人の顔を見た三日月は、
「もうめんつゆだすのやめろよ?」
と言った。
「知ってるか? 醤油って致死量あるんだからな」
「結構薄まってるわよ」
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