第27話

「おやおや」




 どういうことだ……

 人間を食っている?

 俺が?

 そんなの……

 おかしいだろ。


 三日月は少女の入った檻の前にいた。

胸から荒く息をはきだす。

 少女と目が合う。

「逃げるぞ」


 月明かり照らす山道を狼が背に少女をしがみつかせて走っている。

「わんちゃん、わたしのお家わかる?」

「ああ」

 狼の遠吠えが聞こえてきたような氣がした。

 三日月は氣にせず走り続けた。

 だんだんとスピードを遅くする。

 だんだんと、だんだんと、そして、止まった。

「どうしたの?」

「おりてな」

「うん」

 りかは手を離して地面に降りた。

 目の前の木立の影から無月と他に三匹の仲間がでてきた。

 回りにも数頭、林の影に隠れている。

 狼の唸り声。

 目の前の狼は犬歯をむき出しにした。

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