第24話

 白道は胸にさげた笛を吹いた。

 人には聞こえない音が鳴る。

 すると、狼たちが集まってきた。

 白道が奥から食事を運んでくる。

 肉を狼たちめがけて投げると、狼たちは肉に群がり凄い勢いで平らげていく。

 子供たちにも食事を与えようと、大きな皿を手に持ってくる。

 白道の回りに子供たちが集う。

 餌を見つめる子供たち。

 早くちょうだいちょうだいと尻尾を振りまくる。

 皿を置くと、あっという間に餌は無くなっていった。

 白道は良い食事を与えていたので、大人の狼たちはたくましく育っている。




 仲間たちと共に走った、獲物を狩りに。

「三日月、よく見てろ、狩りってものを教えてやる」

リーダーの無月が横を走る。

「獲物だ、バラバラにするぞ!」

 最初の一匹が噛みついた。

 それが継起して獲物は倒れる。

ズタズタに引き裂かれる肉。

 三日月はその光景を眺めていた、脳裏に焼き付くほど。

 琥珀色の瞳に焼きつくほどに。

 狼たちの口元は血だらけになっていた。




血の臭いがした。

 嫌な臭いだ。

 バラバラになった屍。

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