第22話

「別に、大丈夫だ」

「行った先で、なにかあったの?」

三日月はかずさと目を合わせられなかった。

「なにもない」

「嘘つき」

 かずさはじっと三日月を見る。

「ねぇ、魔法かけてあげよっか」

「魔法?」

「うん、元氣がでる魔法」

「どんな?」

「キスしてあげよっか」

 三日月は視線を上げて目の前の女を見た。

「うっそー、ビックリした?」

かずさはケタケタと楽しそうに笑顔を向けた。

 その笑顔を見たらなんだか震えがおさまった。

 三日月はゆっくり、ソファに近づいてかずさの前に立つ。

「ちょ、本氣にしちゃった?え、うそだよ、うそ」

 焦りだすかずさ。

 三日月はかずさをじっと見つめる。

 三日月の体は狼になって、ソファに上がり目の前の女の子の膝に覆い被さった。

 かずさは苦笑する。

「まあ、これならいっか」

 三日月はしばらく体をなでてもらっていた。

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