第19話

「十六夜(いざよい)……俺の氣持ちは変わらない、そして決めたんだお前達にこんなことはやめてもらうって」

「狩りをやめろだと?俺たちの行動は白道様が決める、お前に指図される覚えはない」

「こんなことをするなんておかしいと思わないのか?」

「しるかそんなこと、お前が俺たちを裏切ったんだろう! おかしいのはお前の方だ!」

 黒い狼は声を荒げた。

「弱い者は強い者に食われる運命だ、それが嫌なら強くならなきゃならない、お前だってよくわかっているはずだろう」

「だれも好きで弱く生まれてきたわけじゃない、力があるのなら弱い者を助けなきゃいけないんじゃないのか!」

「もう話は終わりだ、お前の始末をつけろと白道様に言われている、覚悟はいいか」

「分からず屋がアア!」

 二匹の狼は唸り声をあげた。

 ほぼ同時に動いた。

 黒い狼は白の狼の首に噛みつく、それを振り払って三日月は足に噛みついた。

 狼の悲鳴。

 滴り出る血。

 黒い毛の狼は人間の姿になった。

 それに合わせて白色の狼も人間へ。

 二人は手を組みつかせた。

血走った目で睨みあう。

「うああああああ!」

「ぐおおおおおお!」

 お互いの力が拮抗する。

「なんで、あんなことをしたアアアアアア! みかづきいい!!!」

 十六夜の肌から黒い毛が生えて、筋肉が盛り上がり、顔が狼に変じた。

 三日月は、力で勝てずにぐぐぐと押されていく。

「うがあああああああああああああああ!」

 三日月も、体から毛を生やして顔が獣となった。

 黒の狼人間を力でぶん投げた。

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