第15話

 と三日月が独語すると、それが耳に入ったのか彼女は照れるなと少し顔を赤らめた。

「私はどうかな?」

 姉の方は白色のつばの広い帽子と、同色のワンピース、カーディガンを着ていた。

「いいんじゃないか?」

 と三日月は素っ氣なく言った。

 しかめ面をして三日月を見るあさぎがいた。

 

「あそこに入ろ!」

 かずさがオムライスのオブジェが置いてある洋食屋を指さした。

 中に入って、三日月とあさぎはオムライスを頼んで、かずさはオムライス、グラタン、食後のパフェを頼んでいた。

 細いのにどこに入っているんだろうと三日月は思った。

 しばらく三人で会話をしながら食べていると。

「むごォッ」

 かずさは食べ物を喉に詰まらせて胸を叩いた。

「ぐる、じい……」

「息を止めてみろ」と三日月。

 かずさの喉の詰まりはとれた。

「ふう、助かった」

 そう言って、かずさはまた食べ物を口に運ぶ。

「かずさ、あげる」

「うん」

あさぎはオムライスを残して妹にあげていた。

「いつもあまり食べないな」

「おねえちゃん食が細いから」


 三人でデパートをぶらぶらしていると、前から全身黒い服の背の高い男が歩いてくる。

 三日月はその男の視線に氣づいて目を合わせる。そのまますれ違い、男を振りかえる。

「トイレに行ってくる」

 二人にそう告げて、男の後を追いかけた。

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