第13話
あさぎは機嫌が悪くなった。
三日月はかずさとあさぎが高校に行っている間、家で留守番をしていた。
部屋の床に落ちている暖かな日差しを浴びながら寝そべっていると、ふと棚にあった分厚い赤い本が氣になった。
スッと人間の姿に変わりつつ立ち上がり、その赤い本に手を伸ばす。
よく見るとアルバムのようだった。
あいつらの昔の写真か。
勝手に見る物ではないなとよぎった。
「小さい頃も可愛かったんだろうな……」
三日月はアルバムをめくりだす。
可愛らしい、二人の女の子と親と年を取った女性が写っていた。幸せそうな家族の風景があった。二人が成長するにつれて二人だけの写真が増えていって、終いには姉妹だけの写真ばかりになっていた。
そっとアルバムを閉じて元あった場所に戻した。
学校の帰り道。
「ねえ、あいつかずさのこと好きだよね」
「そうかもね」
かずさはあさぎの前を歩いて鞄を後ろ手に持っていた。
「かずさはどう思ってんの」
「んー、嬉しいかな、好かれないよりはいいよね」
と笑いながらいった。
「おい、かずさ!」
前から近所に住んでる小学生の純君がやってきた。
「これでもくらえ! 火炎うんこ!」
茶色い物体がかずさめがけて飛んできた。
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