第6話

突然、狼の楯になるように堅氷が形成された。

 槍はジュウウと音を立てて氷に突き刺さるが半ばで勢いを失って止まり、消失した。

「なにこの氷!? 私の槍を止めるなんて……どういう……」

 少し離れた所にある木に、霜が張りパキパキと音を立てて氷華が咲く。

 髪のストレートの女はそちらに目をやる。

氷の花が咲いた木の影から、二人の女が現れる。

「弱い者いじめは許さない」

「私たちがお仕置きするわ」

ストレート「あんたらだれよ、こいつの飼い主かなにか?」

一人はショートヘアー、もう一人はロングでくせ毛だった。

ショート「いじめられている子を助けようとしているだけ」

クセ「べつに飼い主でもなんでもないわ」

ストレート「ちょっと邪魔しないでくれる?こいつのこと知らないくせにわた……」

ショート「問答無用!」

クセ「天地無用!」 

ストレート「は?」

空氣が一氣に冷え込み地面に霜が降りる。

 ストレートの女のまわりを空氣中の水分が固まってできた氷柱(つらら)が取り囲む。

ストレート「会話くらいしろよ!」

 次々と氷柱(つらら)がストレートの女に襲いかかる。

ストレートの女を中心にして炎の竜巻がおこった。

 生きているかの如くうねり、竜巻の先端が二人組に迫る。

ショート「おわ!」

 氷の壁が地面から伸びるように出現し、炎をふせいだ。

炎が落ちつくと、ストレートの女も消えていた。

 遠くの空に何かの影が動いている。

 ストレートの女は箒にまたがり、飛んで逃げていた。

「ほんと、むかつく」

 腕を朱色に染まったハンカチで押さえていた。

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