閑話 嵐の前の静けさ

「何もわからなかっただと!?ふざけるな!」

部屋に男の怒声が響く。

「も、申し訳ありません。しかし、本当に隣国が関係する証拠は見つけることができませんでした。」

目の前にいた男が口を開いた。

「あの村には必ず何かある!だが、お前が見つけられないのなら本当にないのだろうな。」

「ご理解いただき感謝します、第一王子。」

「しかし、帝国との戦争が控えている。今年こそは帝国を討ちこの無意味な停戦を終わらせなければ!」

第一王子はそう言いながら深いため息をついた。

「ならば戦争が始まる直前にその村を拠点にすればよいか。」

「え!?」

執政官が驚きの声を上げた。

「何か不都合でもあるのか?」

「い、いえそんなことはありません。(まずい、このままだとあの男に殺されてしまう。)しかし、王子、拠点を介さず直接の方が今後動きやすくなるかと。」

「何が言いたい。」

「現在第二王子の勢いがすごいです。おそらくこの戦争にも参戦してくるでしょう。ならば、第一王子も先頭を走れば今後の勢力争いにも有効かと。」

そう言うと王子が立ち上がりこう言った。

「素晴らしい!それがうまくいけば私が王になれる!」

「開戦までの約二ヶ月ほど我々も準備を進めていきます。」

「うむ、ならば下がれ。ご苦労だった。」

執政官が退室した後王子が笑いながらこう言った。

「この戦で私がこの国を奪ってやる!」

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