第9話 帝国最強
「それは、真実なんですね?」
「はい、すでに国境付近には兵団が少しずつ移送されてきています。」
「(もし、それが攻めてくるとなると国境付近にある村が危ないな)」
「どうかなさいましたか?」
「あ、いえ、もう一つだけ、もし戦争が起こった場合どこが戦場になりますか?」
「そうなると、おそらくこの辺りかと。」
そう言いながら店主が指を差した先は村のすぐ近くの平野だった。
「このリジェ平野が戦場でしょう。」
「なぜ、そのように思うのですか?」
「この平野は帝都と王都の間にあります。兵の移動などからおそらくここかと。」
「どちらが勝つと思いますか?」
「もし、帝国が全ての兵と六騎士を使えば帝国の勝ちになるでしょう。」
「六騎士?なんですか?それは。」
「六騎士はこの国の最強戦力です。一人一人が騎士団長クラスの実力をお持ちです。」
「(もし、そうなればあの村は一番に狙われるだろう。まずは帝国の戦力を確認しなければ。)」
「戦争はいつ頃始まりますか?」
「早くても二ヶ月はかかるでしょう。世界同盟で宣戦布告はしなければならないので。」
十分だな。
「助かりました。それでは。」
「またのお越しをお待ちしております。」
店を出たところでちょうどよく通信が届いた。
「もうすぐ始まりそうか?」
『はい、あと10分ほどで。』
「わかった、すぐに向かうよ。」
そう言いながら通信魔法を切った。その足で闘技場に向かうと丁度始まるところだった。
「お疲れ様です、ギルマス。」
「強そうな奴はいたか?」
「いえ、1人を除いて我々にはスローに見えるほどのものしかいませんでした。」
「1人を除いて?どいつ?」
「あちらです。あの真ん中にいる二刀流の。」
指を差した方を見ると確かに1人だけ雰囲気が違う男がいた。
「レベルは50〜60ってところだな。他は高くて40、低くても25か。脅威にはなりそうもないがあの男には少し興味がある。」
「今のところあの男は全ての試合を一撃で終わらせています。」
レベル差を考えれば当たり前だな。そう考えていると試合が始まった。やはり、その男は一撃で相手を沈めた。
「少し、手加減してる感じだな。」
「手加減、ですか?」
「手加減と言うより訓練だな。構えから見て一刀流が元々だろう。おそらくいかなる状況でも対応できるように片手でも刀を振れるようにしてる感じだな。」
「そこまでわかるんですか?」
「昔、俺も似たような訓練をしたことがあるからわかるんだよ。」
そう話していると準々決勝が終わり準決勝が始まったがそのまま二刀流の男が勝った。その時
「オルタ選手が棄権を宣言しました。よって決勝は行わず優勝はナイズ選手です。」
「棄権したか、やはり実力差がわかったんだな。」
「これから出てくるんですね、騎士団長が。」
「それではこれよりエキシビジョンマッチです。我ら帝国最強の騎士バジェロ・グレース様、入場です!」
闘技場の東側から全身を鎧に包んだ男が現れた。あれが騎士団長か。
「ギルマス、あれは相当な強さです。」
「そうだな、レベルは65〜75あたりか。(あれレベルがもう六人か、これは王国が危険なのも頷ける。何か対策はしなければだな。)」
「それでは、エキシビジョンマッチ、開始です!」
開始の合図が流れてすぐナイズが左手の刀を捨てた。
「1本でいいのか?ナイズ?」
「あんたを倒すには2本はきついからな。」
「来い、その鍛えた刀ごと斬り捨てる!」
「一刀流極意〈虎龍蒼波〉!」
その瞬間ナイズが凄まじいスピードで団長に迫った。
「帝国流剣術奥義〈岩泡失墜〉!」
お互いの射程に入った瞬間団長が一呼吸の間に7発の剣をナイズに与えた。
「流石だぜ、団長さん。まだまだ俺じゃあかなわなぁわ。」
「今の一撃は良かったぞ、これからも修練を続けろよ、ナイズ。」
それを聞いた瞬間ナイズの全身から血飛沫が舞い前に倒れた。
「勝負アリ!勝者、バジェロ・グレース様!」
闘技場内から歓声が舞い上がった。それを聞きながら2人を連れて闘技場を後にすることにした。
「帰るぞ2人とも、少し考えなくてはならないな。」
「「了解しました。」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます