第7話 帝都来訪
「アリエル、何日で帝都に着くと思う?」
馬車に乗ったミューが御者席にいるメイドに問いかける。
「もし【ラグナロク】と同じであれば2日ほどかと。」
「そう、なら適宜御者を切り替えながら向かいましょう。」
「了解しました。ミュー様。」
その後予定より半日ほど早く帝都についた。
「何か身分などを証明するものはお持ちですか?」
帝都に入ろうとすると入り口の側に控えていた衛兵が声をかけてきた。
「すみません、お嬢様と二人で帝都の観光に来たので身分などを証明するものを持っていないんです。」
「そうなんですね、観光でしたら自由に入っても大丈夫ですが、念のため馬車の中を改めさせていただきますがよろしいでしょうか?」
「もちろんです。ご自由にお調べください。」
数分ほど中を調べた後衛兵は門を開けた。
「ようこそ我らが帝都オリエントへ。」
中に入り馬車を預けた後二人は宿を取った。
「意外とすんなり入れたわね。」
「そうですね、よほど怪しくなければ問題はないのでしょう。」
「とりあえずギルマスに連絡しましょう。」
そう言いながら通信魔法を発動させた。
『お疲れ様、何かあった?』
「帝都に到着しましたのでその報告を、と思いまして。」
『そんなこと細やかに報告はしなくてもいいよ。とりあえず軍の方は後でもいいから実力者の方を探ってくれ。』
「了解しました。」
『それじゃあ、頑張ってね。』
そう言うと通信魔法が解けた。
「とりあえず、今夜酒場に行ってみましょう。」
「そうですね。演技頑張ってみます。」
その夜、二人は冒険者ギルドの近くの酒場に入った。
「いらっしゃいませ、二名様でよろしいでしょうか?」
「はい、二名です。」
そういうとカウンター席に案内された。そこで酒を二杯ほど飲むと近くに座っていた男三人が近づいてきた。
「ねぇ、姉ちゃん達俺たちと飲まない?」
「いい酒を奢ってくれるのなら一緒に飲みますよ。」
アリエルが蠱惑的な笑みを浮かべた。
そのまま三人の席に移動し飲んでいた時だった。
「あの、この国で強い人ってどれくらいいるんですか?」
「強い人か?そうだな、もし知りたいのなら一週間後に開かれる武闘大会を見てみるといい。この国中の実力者達が集まるからな。」
「ありがとうございます。お代はこちらが持ちますよ。」
「いいのか?」
「情報量代わりだと思ってください。」
「そういうことならありがたくいただくよ。」
帰り道に、アリエルが口を開いた。
「いい情報が手に入りましたね。」
「そうね、ギルマスに報告は一応メッセージで報告しておきましょう。」
「ギルマスもいちいち呼び出されるのも少し嫌かもしれませんしね。」
「あら、返事が来たわね。え〜と、『楽しそうだから俺も行くわ。よろしくね。』ですって。」
「相変わらずこういった出来事好きですよね、ギルマスも。」
「あの人は無自覚の戦闘狂だからね。」
「無自覚ですか。」
「そうよ、あれは本当の化け物ね。」
「化け物、ですか?」
「あの人の力はとんでもないわよ。」
「幹部のみなさんの力でも、ですか?」
「少なくとも相性によるけど、四人ぐらいだと余裕で負けるわよ、あのギルマスには。」
「いつか、みてみたいですね。ギルマスの本気。」
「まぁ、この世界に強者がいれば、もしかしたら見れるかもね。」
「そうですね。」
「とりあえず一週間観光しましょう。」
「はい、お供します。」
二人は他愛もない話をしながら宿への帰路に着いた。
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