第5話 世界情勢
村長が開いた宴席で酒を飲んでいると村長が話しかけてきた。
「クリエ様、お楽しみいただけていますか?」
「ザバラ殿、とても楽しい宴席ですよ。それで、何か御用ですか。」
「クリエ様、助けていただいたご恩に報いるために情報が欲しいとおっしゃられておりましたでしょう?」
「可能な限りこの世界の大国の情報と地図をいただけると助かります。」
「それでしたらわれわれでも教えることが可能です。少々お待ちください。」
そう言うと村長は近くにいた村民に声をかけた。それを聞きその村民はどこかに走っていき大きな筒を持って戻ってきた。
「クリエ様、これが世界地図になります。」
「この先の話は仲間たちと共有したいので読んでもいいですか?」
「もちろんです。」
仲間たちを呼んだところで村長を促すと
「質問などがありましたらその場でお願いします。まずこの世界には15の国があります。そのうち小国が9つ、大国が6つ存在しています。」
マップの中の小さな国を指さしながら村長は続けた。
「基本的には小国は表立った動きはしません。動くと大国に吸収されますので。」
「大国の軍事力が圧倒的ということですか?」
「そうです。なので、基本的には外は見据えず中にのみ目を向けるのが小国ですね。」
「ギルマス、小国はそこまで気にしなくてもよさそうですね。」
隣で聞いていたミューがそう言ってきた。
「そうだな。目を向けるとしたら大国だな、村長、大国の情報も可能な限りお願いできますか?」
「わかりました、まずはこの国のことについてお話します。」
村長はそう言いながら西側にある国を指さした。
「ここはレ・ギエル王国です。この村もこの国の中にあります。」
「王国、ですか?」
「はい、この国では基本的には民主主義を掲げています。しかし、それもあくまで国王の意思に従ったうえでのことです。」
「従わなかったり不穏な動きをすると今回のようになると?」
「はい、その通りです。現在この国は内部が多少荒れています。国王が病に伏せ次の王を誰にするのか貴族たちが争っています。」
「混沌としてるな。」
「はい、この国の第一王子は特に権力と金に執着しておりまして、今回の執政官の出来事もおそらくは。」
「まぁ、これからは我々も助けますのでご安心を。」
「本当に何から何まで有難うございます。それで二国目ですが、ここは城塞国ワコンダです。」
「城塞国?」
「はい、この国はほかの国と違い王都しかございません。その王都の外側はとてつもなく高い壁に囲まれているんです。」
「壁だけでは城塞とは言えないのでは?」
「はい、この国はそれ自体が城塞になっているんです。家屋の配置もすべて城塞の一部となるように設計されています。」
「ここまで固まっていたらよほどのことがない限り落とされないだろうな。」
「ここは特に平等を重視する国です。相手から侵略されない限り攻め込むこともありません。」
「なるほど、その城塞には少し興味があるな。」
「時期を見てゆっくり観光をするのもいいと思いますよ、ギルマス。」
「そうだね、村長三国目をお願いできますか?」
「かしこまりました。三か国目はアリエステ帝国です。」
そう言いながら村長は地図の真ん中にある一番大きな国を指さした。
「ここは専制君主制の国です。現在第15代皇帝が国を治めています。この国はじわじわと隣国を吸収しながら拡大を続けています。ですので、」
そこまでいいながら帝国の周りの4国を指さした。
「この4国はすでに吸収されています。」
「では小国は残り5つですか?」
「いえ、その4国は除いた数で9つです。」
「なるほど、ところで王国とも接していますね。」
「はい、ですので次は我々かもしれません。」
心配そうな顔をしながら村長は言った。
「その時は我々がお守りしますよ。」
「もう頭が上がりませんよ。」
「ほかの国ですと目立った国はあと一国ですね。」
「残りの二国は大丈夫なんですか?」
「はい、この二国、天帝国リエスとミエリオス共和国は現在内部でクーデターと紛争が絶えず国際的な取り決めでこの二国の問題が解決するまでこの二国に手を出すことは許されないんです。」
「罰則などはあるんですか?」
「はい、輸入規制や国際的な協力が一切得られなくなるんです。」
「それはかなりの痛手ですね。」
世界から孤立するのはかなりのリスクがあるだろう。
「では、最後の国はどこですか?」
そう問うと王国の下にある小さな国を指さした。
「ここです。この国はパエンテ法国です。」
「法国ですか?」
「はい、この国は世界で一番信仰されているパエンテ教の総本山です。ですので領土は小さいですが大国の一つに数えられるんです。」
「厄介そうな国ですね。」
「法国の最高戦力である「オクタゴン」が特に強大なんです。」
オクタゴン、英語で八角形を表す言葉だな。
「その八人は強いんですか?」
「はい、神からの加護を受けているのでそこら辺の国の軍では到底かなわないんです。」
「法国が攻めてくるなんてことはあるんですか。」
「いえ、あの国は中立をとっているので、よほどのことがない限り動かないんです。」
ならひとまず心配するべきは帝国だな。
「村長、お話感謝します。明日からうちの誰かをこの村に常駐させますのでご安心ください。」
「何から何まで感謝します。本当にありがとうございます。」
そう会話し俺たちはギルドに戻った。
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