第2話 最強と転移

「ギルマス~、掲示板やっぱ荒れましたよ。」

鉄仮面に顔を覆った女性がソファーでくつろぐ男にそう声をかけた。。

「あ、やっぱり荒れた?」

「当たり前です。かつて世界最大規模のギルド5つが同盟を組んでも攻略できなかったんですからね。」

二人で話していると扉から10人の人間が入ってきた。全員服装は異なれど唯一全員に共通するのは仮面をつけていることだった。

「急に呼びつけてどうしたんすか、ギルマス?」

先頭の男が言った。

「ごめんね、みんな急に呼び出して。」

「全員揃ったなら始めましょう。」

その場にあった円卓に全員が座った。

「では今回の会議はベータさんお願いします。」

「りょ~かいって会議!?何も聞いてない。」

「言ってないですからね、言ってたら半分は来てないでしょう?」

その瞬間ギルマスと呼ばれた男の横にいた女性から殺気が飛んだ。

「ま、まぁそのことは置いといてだ。」

「今後のことを決めておきたくて呼んだんですよ。」

「今後?」

「あの樹海をクリアしたので今後は表立って行動するのもよしだと思いまして。」

「賛成ですね。」

ギルマスの正面に座っていた男が発言する。それに続くように全員が賛成した。

「よし、ギルメン全員の賛成も得たことだしこれから頑張ろうぜ。」

その時だった。突如円卓が光り輝いた。

「これはなんだ?」

そして円卓の真ん中にシステムメッセージが出る

[ワールドイベント]

「ワールドイベント!?なんてタイミング。」

「『desconocido』に世界の闇を?」

「おいおい、限定的過ぎねえか。」

次の瞬間目が見えなくなるほどの閃光が円卓から放たれた。

光が収まった時そこは何も変わらない一室だった。

「何が起きたんだ?アルファ?」

「ステータスにも変化なしですね。ほかの人たちは?」

「何もなしだな。」

「ギルマス~、マップ見てみて~。」

「うわ、なんだこれ。」

「真っ黒ですね。」

「マップ以外は?」

「問題ないですね、デバフもありません。」

「ワールドイベントにしては少し簡略的過ぎません?」

「そうだな、少なくとも名指しでやるものではないな。」

「アルファ、外見てきて。」

「りょ~か~い。」

アルファと呼ばれた少女が軽快に窓の方に駆けていった。

「ほかに何か異変は?」

「特にありませんね。」

「ギ~ル~マ~ス~!大変、大変、大変だよ!」

「どうした!?何があった!」

「外の様子が全く違うよ!」

「何!?まじか。」

全員で窓から外を眺めるとそこにはみたこともないような景色が広がっていた。

「どこだ、ここ?このギルドの外は樹海だったはずなのに。」

「草原になってますね。」

「ギルマス。円卓を見てください。」

そう声をかけられ円卓を見ると先ほどと同様にシステムメッセージが出ていた。

「『新たな自由を』?なんだこりゃ。」

「新しいマップで何かしろってことか。ガンマ。」

「なんでしょうか、ギルマス。」

「とりあえずここを中心として半径一キロを偵察してきてくれ。もし、誰かと会ったとしたらなにがあるかわからないから即座に撤退をしてくれ。」

「了解です。それでは行ってきます。」

ガンマと呼ばれた男は窓から飛び降りていった。15分ほどして再び窓から戻ってきた。

「どうやらマップ機能は使えないようです。【ラグラロク】とは別物と見ていいでしょう。」

そう言って見せてきたマップは変わらず黒に染まっていた。

「近くに街は?」

「見つかりませんでした。」

「わかった。.....ミュー、これは転移と見ていいと思うか?」

常にギルマスの近くにいた女性が口を開く。

「おそらく、先ほど別ギルドの方にチャットを送りましたが一切返答がないので我々だけだと思われます。」

「これは面倒なことになったなぁ。」

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