第1話 掲示板と噂
それは掲示板の何気ない投稿から始まった。
[見たことないようなスピードで最難関ダンジョン攻略されたww]
「最難関って言ってもピン切りだろ。」
「どこだよ。」
「というかスピードが速くてもだろ。」
平時と変わらずそこの住民たちは疑いから入った。しかし、
「ゴルメス樹海だよ。」
『ゴルメス樹海』、その名が出た瞬間全員の態度が豹変した。
「おい、嘘だろ。あんなところ攻略できるわけないだろ!」
「嘘乙ww」
『ゴルメス樹海』とはプレイヤーたちからは「理不尽とヘイトの集まり」という
別名がついているダンジョンだ。
「あんな絶妙にいやなタイミングで敵をけしかけてくるダンジョン攻略できるか?」
そう、このダンジョンの一番いやなところはタイミングなのだ。例えば戦い終わりに回復しているときやダンジョンのマップを作っているときに敵が出てくるのだ。
「というかあのプレイヤー数で今まで攻略できてなかったのも不思議だよな。」
「確かに。」
「今や世界の9割だろ。赤ん坊と年寄り以外全員やってるんじゃね。」
「それがもう10年続いてるからな。」
「次のオリンピック競技候補にも選ばれたしな。」
「そうなったら楽しそうだな。」
「というか誰があの樹海クリアしたんだよ。」
「主早く。」
「クリア履歴を見てみたんだよ、そうしたら『desconocido』の横に3分半って書いてあった。」
「聞いたことねえな。かといってぽっと出の新人が勝てるわけじゃないし、ギルドか。」
「聞いたことあるわ。あれだ、西側の帝国を滅ぼしたギルド。」
「でも、あれって名前公開されてなかっただろ。」
「だから『desconocido』なんだよ。」
「正体不明、か。また何か起こるかもな。なんたってあのゲームはプレイヤーの意思で未来が変わるゲームなんだから。」
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