4 本番終了後
本番が終了すると初めて僕の手以外でイッてしまったことに、鉛のようなだるさで僕はぐったりしました。けれどなんていうか腰に妙な充実感?
ハラハラする展開と、心に突き刺さる悲しい展開。
まだ一冊目の台本だけれど、よくよく見たらこのお話、ただあっはん、うっふんと、するわけじゃなくて、結構やりがいあるかもと、思い始めて来ました!
白鳥さんとは恋人で恐らくこの先も何度かヤルんでしょうけど、でも今日ので一安心、なんだか凄く良かったので次の回が楽しみになって来ました。ああ、僕って単純だなぁ~。
翌日。
今日は撮りがある程度終わると、スタッフさんたちと打ち入りで飲み会です。
もちろん製作側持ちなので僕はすっごくすっごーーーく久しぶりにお酒が飲めて、も~楽しみです!
メンバーは僕と、白鳥さんさん、牙路さん役の渡世さん、滝川さんと、来田さん(ラルグさん)スタッフのメンバーと、その他の出演者さんたちです!
もちろん海倉監督もいます!
割と感じのいい飲み屋鳥吉(とりきち)でそれはとり行われます。
照明がそこそこ暗くて、そこの貸切座敷2部屋で、スタッフさんたちと出演者でなんとなくテーブルは別れてしまいました。けれどいつでも行ったり来たりできます。
ああ、ここ前から気になっていたんだ~! 感激です。
「あれ? 白鳥さんはまだ若いんじゃないんですか?」
「あはっ、そうなんです俺まだ18だから、だからお酒は飲めません~」
「守くん何飲む?」
監督が尋ねてきました。
「あ、僕は中生で……」
「あ、僕も」
「俺は、オレンジジュースで!」
「守くんと隆二くんは生ね、僕と来田さんと牙路さんもだから。あ、すいません、中生5つ! とオレンジジュース1つ」
お通しのきゅうりの漬物をつまみながら、僕を挟んで白鳥さんと滝川さんはメニューを見ました。
「春原くん、何食べる?」
「え~と。魚が食べたいなぁ……」
「刺身とか?」
「刺身! すっごく久しぶりだ。それがいいです~!」
「じゃ適当に盛り合わせでもするか! 他には?」
「瑠璃くん、豆腐サラダ好きだったよね?」
「あ、はい、隆二さん、うん、俺それ好き! 食べたい!」
「あとから揚げと、煮魚もいいなぁ」
ううっ、神様メニュー頼み放題です!
ありがとう、ありがとう!
この感動の瞬間を僕は忘れません!!
海倉監督が、適当にみつくろって頼んでくれました。
「なんだ君ら、ここにもメニューあるのに3人で仲良しだねぇ……。うんうん。まぁいい事だけどね」
「来田さん(ラルグさん)、頭大丈夫ですか? 俺強く叩き過ぎた?」
「大丈夫、大丈夫」
来田さん(ラルグさん)は、はにかみながら白鳥さんと話しています。
何故か来田さんは白鳥さんを見ると赤くなります。
そりゃそうですよねぇ~!
白鳥さん可愛いもの!
僕だって真正面から見詰め合うと恥ずかしくて。
何度かNG出しちゃいました。
結構みんな白鳥さんに注目しているみたいですね。
白鳥さんはそっちの人とかにやはり大人気らしくて、いつも護衛をつけているみたいです。
やはり、一人では危険みたいで。
この業界で言う受けの人ってそういう意味で大変みたいです。
まぁヤル役の僕にはあまり関係ないみたいですけどね!
来田さん(ラルグさん)は見た目のごつさとは違いとても人が良くて、遠慮がちな人です、一たび演技に入るとそれは迫力があるんですけど。
いや、こうして黙っていると恐いんですけどね。
「街でよくあっちの人とかに絡まれるんだよねぇ。別にこっちは睨んでいるつもりないのに、 睨みやがって、とか言ってなんくせつけられるよ。参るよな」
渡世さん(牙路さん)が、そういう来田さんを見て渋い顔で苦笑いしました。渡世さん(牙路さん)はあまり笑わない人で、やはり恐い印象があります。
来田さんの方が話しやすいかな? それでもきっといい人なんだろうと思います!
まだ1部も半ばで結構これからも真剣な芝居に入るので、瑠璃さんと渡世さん(牙路さん)たちは、段々と今の芝居の話に熱中し始めて来ました。
僕はあまり彼等との絡みがなくて、今は割と他の色々な出演者さんたちとの絡みが多いです。
「そうそう、もうすぐ守くん、隆二くんとの芝居入ってくるからね」
海倉監督が笑って言います。
「そっか、滝川さんと僕は兄弟なんですよね?」
僕が滝川さんの方を向いて話し掛けると彼はにっこり微笑みました。
「うん、そうだね、そうだ、もうセット見た?」
「いいえ、まだ……」
「そっか、屋敷とか結構大掛かりで凄いよ、僕はもうそっちの練習入っているから、何度も行っているけど。面白いよ、今度休み時間に見においでよ。2部の出演者達にも会いにおいで」
「はい!」
「もうすぐ2部に入るから、台本明日にでも渡す、目、通しておいて」
海倉監督が言います。
「2部は地球でのシーンだからね。君はお金持ちだからね。念のため」
「へぇ~! あ、そっか、研究員でお金持ちとか設定であったな。お芝居っていいですよね~、本当は僕は貧乏だけどお金持ちの役がやれるんだから」
僕がそう言うと監督は笑いながら応えました。
「確かにな」
「守くん、あっちの方最初どうだった?」
監督さんがにやけて言います。
僕は一瞬何のことだかわからずにキョトンとしてしまいましたが、白鳥さんが「初めてにしては上手だったよvねっ、守さん」とにこやかに言うので僕は途端に何のことか気づき真っ赤になってしまいました。
「そうだろうねぇ~んーんー! やっぱり僕が見込んだだけはあるねぇ~」
海倉監督がお気楽な調子で頷いていました。
僕はすっかり恥ずかしくなってしばらく下を向いて俯いていました。
横で滝川さんが笑っています。
みんなこういう話平気でできちゃうんだなぁ。凄いなぁ。
こうして夜は更けていきました。
金持ちの役……か……。
僕は自分が借金持ちだということがその時頭を掠めて少し憂鬱になりました。
「ん? どうしたの、春原くん?」
滝川さんが心配そうに僕を見ましたが、僕は気を取り直し、滝川さんにはなんでもないと笑いかけました。
この後お酒を飲んでいい気分で家路に着いた僕が、帰った家で、更なる試練に見舞われるとはこの時はまだそんなこと微塵も感じていませんでした。
NEXT なんとかしなきゃ
今日のご飯
ロケ弁。(シュウマイ弁当(○楊軒)
ジャスミン茶。
夜飲み会!
食べ放題! 飲み放題!
食べれるだけ食べなくては!!
(><)
ああ、幸せ!
お店のご好意でムーンは店の裏口であまりものを
頂きました!
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