2 し、白鳥さん……

 はぁ~どうも……。ついに来ちゃいました!

 そう、そうなんですっ、今日は白鳥さんとハメっ、いやっ!! Hなシーンです!!

 昨日興奮した僕はアダルトビデオ借りてきてしまい、ついつい真剣に見てしまいました!

 もちろん僕好みの、髪の長い女の子!

 ベタかもしれないけど好きなんですっ、い、いや短い子も好きですが。

 でも、あまり抜いちゃまずいんで、やりすぎないようにしましたけどっ。

 お金は、それはそれで別です!

「春原くん、おはよう!」

 今日も紫のスーツがバシッと決まった滝川隆二さんが、スタジオ入りです。

 入り口でファンの子にもらったのか、何か色々抱えていました。

 サングラスをしていてそれはもう、男の僕から見てもかっこいいです!

 みんなが集まる控え室に入ると、個人の控え室から出てきた滝川さんが箱を抱えてため息をついていました。

「はぁ……僕、最近甘いもの控えてるんだよね」

 いつも決まって顔見せする公式ファンクラブの代表の子がくれたそうです。

「何が入っているんですか? それ……」

 僕が覗くと「んっ。あ、見る?」と箱の中を見せてくれました。中を覗きこむと、なななななんと!!

「プリンだ……!」


 くううう! 僕はプリンが大好きです!

 3度の飯よりプリンが大好きなんです。

 ああ滝川さん羨ましい!! とても羨ましい!!


 僕が今にも涎をたらしそうな顔をしていたのを察したらしく、「少し持って帰る?」と囁いた滝川さんの言葉が僕には天使の声に聞こえました。

 僕はおあずけをくらった犬のように涎を拭うと、こくっこくっと頷きました。

 ああ情けない……でもっ、こんな美味しそうなプリン。

 いつもは僕のごちそうはプッ○ンプ○ンなので。

 あれだって充分美味しいですけどね。


「ところでさ……」

 おもむろにテーブルに寄りかかった滝川さんが僕に話し掛けます。

「君、今日の撮影で初めてなんだって?」

「えっ、あ……」

 プリンのせいで現実を忘れていました。

 そうなんです。今日は白鳥さんと!

 思い出した僕はまた心臓が高鳴りました。

「そうか、海倉監督それで」

 滝川さんが髪の毛をかきあげます、その仕草が本当にセクシーでかっこいいっす!

 あ、いや、別に男に誉められても嬉しくはないだろうなぁ。

「春原くん、どこまで台本もらってるの?」

「あ、1冊だけですけど」

「そうなの? おかしいなぁ、僕はもう1部と2部の数冊もらっているよ。それも監督の意図なのかな?」

 滝川さんは不思議そうに手を顎にあてて考え込むと、「OK!」と言いその場を後にしようとしました。

「まぁ、とにかくさ、お互い頑張ろう! なっ、年も近い事だし」

「はっ、はい!!」

 僕らはまた握手をしました。

 滝川さんは別のスタジオで違うシーンや他の役者さん達と練習をしているそうです。

 

 さて、僕は指定されたスタジオでとうとうそのシーンです。

 セリフは白鳥さんは髪の短い少女なので、恐らくこの 少年相手になにやっているんだ!

 は男の子に間違えてしまったセリフなのでしょう!

 白鳥さんは僕の前に来て「よろしくお願いします」と小さな声で囁きました。


 ああ!なんて可愛いんだ白鳥さん、僕、君とヤレるなんて幸せすぎます!!


「シーン12、用意!! スタート!!」


「大丈夫だから……」

 僕がそっと囁いて、白鳥さんはそのまま泣き崩れてしまうシーンの後、いよいよベッドになだれ込み本番です!!

 

 なんて小さな細い身体だろう。

 

 僕の緊張をよそにライトに当った白鳥さんの色白の表情が色っぽくてもうたまりません!!

 僕が緊張した表情をすると白鳥さんはそっと微笑みながら僕に囁いてくれました。

「大丈夫だよ……」

 その柔らかな声で僕の緊張も緩みました。

 桜色した小さな唇にそっと口付けると、白鳥さんは増々艶っぽい表情をしました。

 もう我慢できません!

 カメラがあるけど、でももう僕の視線は白鳥さんに釘付けです。

 僕もドラマを見ている一人になってしまっています!!

 僕がそっと白鳥さんのシャツに手を掛けて。シャツがはだけました。


 あれ……。

 白鳥さん、あんまり胸がないんだなぁ。

 あ、でも可愛いからいいや、僕もあまり胸の大きな人は苦手だから、全然いいや。

 互いに抱き合って、僕が白鳥さんの首筋にキスをして、段々と下の方へ下っていきました。

 股間がとってもふっくらしてて。


 ……。

 

 ちょっとまて!!


 なんで股間がふっくらしているんだい? 君?


 白鳥さんはそのままやさしく微笑みました。


 股間がふっくら……って……。


 男?!


 あああああああ!!

 神様~!!

 これっこれって現実ですよねぇ。

 お願い、誰か夢だと言って!!



NEXT 本番。


今日のご飯

(またまた緊張してあまり食べられなかったのでお持ち帰りしました。

もちろんムーンと半分こ(涙))


ロケ弁。(山菜弁当)

麦茶。


隆二さんがくれた高級プリン2個!(銀座のらしい!)


ああ、だからね、お金ないんでこれが僕の一日の食事です(涙)


*参考にしていた月灯りの絆君と永遠には現在そういうシーンはありません;

改稿前はやりまくり、やられまくりで相当酷かったのですが、だいぶマイルドに;

電子版では瑠璃と守はしばらくキスだけの清らかな関係でしたが、ここではそのまま出すことにしました;

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