237話 エドワード王子の来訪

(やっぱり、私は悪役令嬢のイザベラなのね。闇堕ちは何とか回避したけど、体の発育まではコントロールできなかったみたい)


 そう思いながら、私は鏡の前に立つ。

 自分で言うのも何だけど、結構かわいいと思う。

 それに、胸も大きい。

 物凄い巨乳という程ではないが、少なくとも平均よりは遥かに上回っている。


(ふふ……。この美貌があれば、素敵な王子様が見つかるはず……。待っていてね、私の王子様……)


 私はうっとりとした目で、鏡の自分を見つめる。

 すると――

 バーン!!

 突然、私の部屋の扉が開かれた。


「イザベラ! この俺、エドワードが来てやったぞ! 今日はお前に話しておくことが……っ!?」


 入ってきたエドワード殿下の顔色がみるみると青くなっていく。

 そして私の姿を見た瞬間に、今度は真っ赤になった。


「い、イザベラ! 何だその不埒な制服は!?」


 エドワード殿下に言われて、私はハッとする。

 今の私は、小さめの制服を着ていた。

 特に胸の部分はキツく、ボタンが今にも弾け飛びそうだ。


「え、エドワード殿下こそ……! 乙女の部屋に入る時はノックぐらいなさってください!!」


「俺は婚約者だから良いんだ! それより、その淫らな制服を――ごふっ!?」


「あ……ボタンが……」


 タイミングの悪いことに、私の着ていた服の一番上のボタンが飛んでしまった。

 そしてそれは、エドワード殿下の顔面に直撃する。

 彼はそのまま倒れ込み、ピクピクと痙攣していた。


「え……? ちょっと、エドワード殿下? しっかりしてください!!」


 私は慌てて駆け寄る。

 彼は気絶していた。

 ボタンが当たっただけなのに、どうしてこうなった。

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