236話 試着
「あー……。せっかくの春休みも、残り数日かぁ……」
私はベッドの上で伸びをしながら言う。
『ドララ』の世界に転生したのは、私が七歳の時。
その後いろいろあり、十三歳で王立学園に入学した。
今の私は十四歳で、王立学園の第二学年に所属している。
この春休みが明けたら、第三学年になるわけだ。
最終的には第六学年まであって、卒業後は王都や各地方で要職に就くことになるらしい。
現代日本で言えば、私は名門の中高一貫校に通っているようなものだ。
……ま、それはともかく。
「新学年に向けた制服も届いたことだし、そろそろ気持ちを切り替えないとね……」
新学期の初日は、新入生の入学式が行われる。
私は主役ではないが、アディントン侯爵家の令嬢として相応しい振る舞いが求められることになる。
「とりあえず、試着をしてみようかしらね……」
私はクローゼットから新しい制服を取り出す。
今の私は成長期なので、新しいサイズのものを用意してもらっていたのだ。
「ん……? あれ……?」
そこで私は違和感を覚える。
何かがおかしい。
何が変なのか分からないが、とにかく違和感を覚えた。
「あっ……。胸がキツくなってる……。胸部のボタンが今にも弾け飛びそう……」
おかしいな。
一流の仕立て屋さんが作ってくれたものなのに……。
私は自分の胸に手を当てる。
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