235話 オスカーの氷魔法-4

「オスカー様は、魔道具に精通されていらっしゃいましたか?」


「いいえ、あいにく魔道具については多少の知識がある程度でして」


「そうですか……。それでしたら、解決は難しいのでは?」


「ふふ……。暑さを和らげる方法は、何も魔道具だけとは限らないでしょう?」


「……え?」


 私は目を瞬かせる。

 すると、オスカーは悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 そして、優雅に魔法を発動する。


「――【アイス・エリア】」


 次の瞬間――

 私達の周囲に冷気が発生した。

 暑さが一気に和らぎ、心地よい空間へと変貌していく。


「まぁ! すごい!」


「これが氷魔法の力なのね!」


「素敵!」


 周囲の令嬢達が歓声を上げた。

 彼女達はすっかり感動した様子で、尊敬の目で彼を見つめている。


「これは……! オスカー様、また腕を上げられましたね!」


「ありがとうございます。イザベラ殿にそう言っていただけると、練習した甲斐がありました」


「さすがは氷魔法のエキスパートと呼ばれるだけのことはありますわね。さすがはオスカー様」


 私は感心したように言う。

 すると、彼は少し照れたような表情を見せる。

 こうしたオスカーの活躍により、不意に訪れた暑い日は無事に乗り越えることができたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る