229話 イザベラとカインの魔法開発-2

「で、でも、勝手に部屋に入るのは駄目でしょ!」


「まぁ細かいこと気にすんなって」


「細かくないわよ!」


 私は怒る。

 だが、彼はどこ吹く風といった感じだ。


「で、イザベラ嬢。何やってんだよ?」


「見ての通りよ」


 私は彼に作業中の魔法を見せる。

 すると――彼は目を丸くした。


「こりゃあ……凄いな。オリジナルの魔法か?」


「ええ。だけど、どうしても完成しないのよ」


「ふむ……。どんな魔法なんだ?」


「ええっと……、闇の瘴気に対する防御魔法よ。ここがこうなっていて――」


「へぇ……」


 私の説明を聞いた彼は考え込む。

 そして、顎に手を当てて言った。


「悪いが、俺は魔法分野については詳しくねぇ。だが、一つだけ言えることがある」


「何よ?」


「イザベラ嬢は、防御よりも攻撃の方が向いてると思うぜ」


「……へ?」


 私は素っ頓狂な声を上げる。


「どういう意味?」


「そのままの意味だよ。イザベラ嬢は、攻撃が得意だろ? 魔法でも、剣術でも」


「そりゃあ、まぁ……」


 否定はできない。

 私は幼少の頃から、土魔法や水魔法を練習してきた。

 当初は栽培に活かすためだったけど、いつしか攻撃系の制御の方が得意になっていた。

 剣術も似たようなものかな。

 当初はバッドエンドに備えた護身用だったけれど、『覇気』を習得してからは積極的な攻撃も可能になった。

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