230話 イザベラとカインの魔法開発-3

「だろ? それなのに、防御にばかり重点を置いているのは勿体無いって話だ」


「むむむ……。そう言われても……。これは防御魔法なんだから、攻撃の要素を組み込むわけにはいかないわ」


 私は渋面を作る。


「俺は馬鹿だから、難しいことは分かんねぇけどよ。別に、完全に防御オンリーにする必要はないんじゃねぇのか?」


「え……?」


「そうだな……。例えば――闇の瘴気を鋭い魔力で切り裂くイメージはどうだ? それで攻撃して闇の瘴気をパワーダウンさせつつ、残りカスを防御すればいい」


「えええ!?」


 私は驚愕した。

 まさか、そんな発想があるとは思わなかったのだ。

 だが、言われてみれば当たり前のことかもしれない。

 攻撃は最大の防御なり、ってことね。


「そ、そのアイデア、頂くわ!!」


「おう、頑張れ」


 新しい防御魔法の方向性が定まってきた。

 これもカインのおかげだ。

 私は、カインに感謝の言葉を述べる。


「ありがとう、カイン! あなたのおかげよ!!」


「いや、大したことは言ってねぇけどな……」


「そんなことはないわ! 本当に助かったの! 何かお礼をしなくちゃね!!」


 はしゃぐ私に対して、カインは冷静に答える。


「お礼? ……いいのか? 遠慮なく言わせてもらうぜ?」


「うん! 私にできることなら何でもするわ!!」


 私は意気込んで言う。

 すると――彼の口からとんでもない要求が飛び出してきた。


「じゃあ、俺と結婚してくれ」


 …………はい??

 一瞬、何を言われたのか分からなかった。

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