228話 イザベラとカインの魔法開発-1
私がアディントン侯爵領から王立学園の寮に戻ってから数日後――。
「うぅ……。やっぱり、この魔法は難しいわね……」
私は自室で頭を悩ませていた。
現在、私は新しい魔法の開発に取り組んでいる。
闇の瘴気に対抗できるような強力な防御魔法だ。
しかし、なかなか上手くいかない。
「あーあ……。何かいいアイデアはないのかしら?」
私は椅子の背もたれに寄りかかる。
すると――コンコンッ!
扉をノックする音が聞こえた。
誰だろう??
首を傾げる私であったが――『失礼するぜ』と言って入ってきた人物を見て驚く。
それはカインだったからだ。
「ど、どうしてあなたがここにいるのよ!? 男子は立ち入り禁止よ!」
私は狼のごとく吠えた。
ここは女子の部屋なのだ。
男子禁制である。
「あれ? そうだったか?」
「そうよ! 何故そんなことも知らないの!? あり得ないでしょ!」
私は怒り心頭になる。
……だが、カインは平然としていた。
「いや、だってさ。女子達と何度か会ったけど、誰にも注意されなかったし」
「あー……」
合点がいった。
カインはイケメンなので、女子達から注意されなかったのだろう。
カイン・レッドバース。
私の一つ年上で、もうすぐ第三学年から第四学年に進級する。
レッドバース子爵家の養子であり、順当にいけば爵位を継ぐ男である。
赤髪でワイルド系イケメン。
魔力による身体強化や剣術が得意で、学園内でもかなりの人気者だ。
闇の瘴気に侵されている間はかなり不良なこともしていたみたいだけど、幸いにしてそれが露見することはなかったらしい。
荒々しい仕草とは裏腹に、今も学園内で高い人気と信頼度を誇る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます