第366話オクタールの街リターンズ part1
366.オクタールの街リターンズ part1
ライトの改造版を試した所、接近戦では非常に有効だと言うのが分かった。流石はクリ〇ンの技だぜ!
この魔法は、普通のライトと同じ名前では紛らわしい事から、『フラッシュ』と名付けさせてもらった。
「兄さま、この『フラッシュ』使いどころによって凄く有効です。良くこんな使い方を思い付きましたね?」
「あー、まぁ、あれだ……凄く努力家のイケメンが使ってたらしいからな。オレはその真似をしただけだよ」
「そうなんですか。そんな凄い人の技なんですねぇ」
エルファスさん、それ以上は突っ込まないで下さい。これ以上は本当にマズイです。何処かの誰かが捕まってしまいます。
そうして何とか話を逸らした後、改めてナーガさんに、いつオクタールを攻めるのか聞いてみた。
「ナーガさん、オクタールはいつ攻めますか?」
「そうですね。今日は流石に皆さんの魔力が減っていますし、明日の夜はどうでしょうか? アルド君が極大魔法を撃った後は、夜通しの戦いになるでしょうから、明日の昼はしっかりと睡眠をとっておいた方が良いと思います」
「明日の夜に決行ですね、分かりました」
「では皆さん、今日の夜の嫌がらせを終えたら、明日は夜まで休息としましょう。分かってるとは思いますが、明日の魔力の消費は極力無しでお願いします」
全員がナーガさんの言葉に頷いて、了承の意思を示したのだった。
明日は魔力を無駄使い出来ないので、今日のうちにフラッシュをどう戦闘に組み込むか、早速エルに相談してみた。
「やっぱり10秒の準備が必要なので、切り合いの最中では難しいかもしれませんね」
「お前の魔力操作でも時間は短縮できないのか?」
「うーん、元々がライトの魔法なので、綺麗にする所が無いんです。後は魔力操作と魔力変化の練度を上げるぐらいしか……すみません、兄さま」
「いや、謝るな。お前が悪いわけじゃ無いんだから。でも、そうなると、やっぱり逃げる時や不意打ち、準備が出来る時間がある時しか難しいって事か」
「それでも、この魔法は十分な脅威ですよ。上手く使えば、戦いの中で数秒を稼げるんですから」
「そうだよな。数秒あれば戦況をひっくり返せるか……」
「はい。要は使い方です。恐らく初見であれば十中八九 引っかかると思います」
「場合によっては魔力盾を使って守勢になってでも、時間を稼ぐのも良いかもしれないな」
エルとそんな会話をしているのを見つめる目が12個。
「技を開発したら2人で直ぐに使用法の考察。しかも、どちらかが覚えたら片方も使えるときた。どうせ普段なら、そのまま模擬戦での使い勝手も試してるんだろ? お前等の強さの根源を見た気がするぜ」
「2人はズルイんだぞ。それじゃあオレは何時まで経っても追いつけないんだぞ……」
「アルドは規格外だと思ってたけど、弟君も同じなんだねぇ。生まれた時から、そんな風に過ごしていれば、そりゃアルドみたいになってもしょうがないよね」
3人の言葉が酷い! まるでオレ達が人外みたいじゃないか!
「アルド、『フラッシュ』をボクにも教えて。魔力を見て、何となく使えそうな気がする」
「ん? ああ、良いぞ。元はライトの魔法だからな、アシェラなら直ぐに使えるはずだぞ」
アシェラにそう話すと、寸前まで呆れていたはずなのに、ルイス、ネロ、カズイの3人は驚いた顔で口を開いた。
どうやら自分で使うということ事に、思いが至らなかったのだろう。
「お、オレも! オレにも教えてくれないか? 頼む!」
「アルド! オレも習いたいんだぞ。教えてほしいぞ!」
「それって逃げる時に凄く便利だよね? どちらかと言うと後衛の方が上手く使えると思うんだ」
先ほどの3人の言いようを思い出し、ジト目を向けてやると、後ろから更に声が響く。
「アル、さっさと教えて頂戴。オーガは鼻と耳、勿論 目もそう人と変わり無いはずよ。きっとあのクソオーガにも効くはずだわ……クックック……視力を奪ってなぶり殺す。最高じゃない!!」
氷結さんが怖い! 母様、その顔は見せちゃいけないヤツです! な、何かで隠さないと!
あー、さっきまでテンションが上がってたルイス達を見て下さい。借りてきたネコみたいになっちゃったじゃないですかー。
「アルド君、良ければ全員に教えてもらう事は出来ますか? 逃げる手札があれば今回だけじゃなく、この先も一定の安全が手に入りますから」
「ここにいる人に教えるのであれば、僕が断る理由はありません。喜んで教えますよ」
それからは全員にフラッシュを教えていった。
元がライトの魔法だけあって難しい技術は何も無いのだが、何故か想像以上に全員が手こずっている。
どうやら体を光らせるイメージが難しいのだとか。
オレはクリリ〇のイメージがあったためか、特に困る事は無かったのだが……やはり〇リリンは偉大な男だったようだ。
そんな皆のイメージを補完するために、距離をとってフラッシュを何度か使って見せてやった。
「どうだ? イメージは掴めたか?」
「うーん、思ったより難しいな。光る……光る物……いっそオレがハゲ頭だったら、簡単にイメージできたんだろうけどな」
おま、何笑いながら言ってやがる! 氷結さんが半モヒカンのこのタイミングで言うか? それ!!
恐る恐る振り向くと、青筋を浮かべた母さんが頬を引きつらせている。
「か、母様……ルイスも悪気があったわけじゃ無くて……」
「……大丈夫よ。そんな事でいちいち怒らないわよ……でもハゲ頭ねぇ」
青筋を浮かべながらも、母さんは何とか怒りを抑えてくれた。
そして何を思ったのか、いきなり母さんの剃り上げられた頭半分が強烈な光を発し始めたのだ。
「ぶほっ、な、な、何やってるんですか……ぷっ……くくっ……」
「何って、ルイス君が言ったハゲ頭なら出来るかもって試してみたのよ……ん? アル? アンタ、まさか……笑ってるんじゃないでしょうね?」
「か、母様……そ、それは反則でしょ?……ぶはっ、うひひひひ……ちょっ、それはダメです……ククッ……うひひ……」
オレの笑い声が響く中、他の者も母さんから顔を背け肩を震わせている。
「そう……アンタ達の考えが良ーーーく分かったわ……そんなアンタ達に、この魔法のとっておきの練習方法を教えてあげる……」
「そ、それは……まさか……」
氷結さんがゆっくりと頷いて、爆弾を投げつけてきた。
「頭を丸めれば簡単にイメージ出来るわよ! 私みたいにね!!!!」
その瞬間 この場に破壊神が現れた!
そして何故か、既に魔法を使えるオレの髪の毛が、数十本犠牲になる事でこの場は収まったのである。
結局フラッシュを使えるようになったのは、頭を光らせた母さんと魔力が見えるアシェラ、経験豊富なナーガさんだけであった。
残りの3人は鋭意修行中である。
しかし、怒り狂った母さんから、3人には課題が与えられる事になってしまった。
オクタール攻略が終わるまでに、フラッシュを覚えられなければ、簡単にイメージ出来る方法が取られるらしい……
目を見開きながらも、魔法の師匠である母さんの言い付けに逆らう事は出来ないらしく、今は必死になってフラッシュを練習している。
3人には何とか頑張ってほしい所だ……南無。
「ふぅ……でもフラッシュは別にして、夜襲をかけるならライトを置く場所や光量を考えた方が良いですね」
「そうですね。後衛の位置によっては逆に戦い難くなる可能性もありますね」
「そうか、後衛の位置……パーティを3つに分けるなら、一度それぞれのチームで話し合った方が良くないですか?」
「ええ、そうしましょう。では、それぞれのパーティで打ち合わせをしましょうか」
こうしてパーティで分かれ、アシェラとナーガさん、ルイスとネロ、母さんは普通に打ち合わせを始めだした。
しかし、エルとカズイはまともに会話をするのは、これが初めてである。
「あ、初めまして……じゃないですね。カズイです。じゃなかったカズイと申します……」
「エルファスです。兄さまと同じように話してくださって大丈夫ですよ」
「え、でも……アルドと違って貴族なんですよね?」
「はい。将来はブルーリングを継ぐつもりです」
「じゃあ、僕なんかが普通に話すのは恐れ多いって言うか……何か、すみません」
エルは普通に話そうとするが、カズイはどうもエルに対して苦手意識があるようだ。
「カズイさん、エルは僕と同じであまり序列を気にしませんから。公の場で無ければ、僕と同じように話しても大丈夫ですよ」
「で、でも……あんなに大きなお屋敷の跡取りでしょ? しかも領地持ちの貴族とか……ちょっと僕には難しいかも……」
そんな話を3人でしていると、ルイスが口を挟んできた。
「カズイさん、そんな事を言ったら、オレだってサンドラ家の子息だし母さんは第2夫人ですよ。しかもラフィーナさんも次のブルーリング夫人。そもそも1国の貴族なんかより、使徒の方がよっぽど世界的に大きな存在なんですから。エルファスにも普通に接すれば良いですよ。それにコイツはアルドより少しだけ常識をわきまえてますし、カズイさんとは話が合うはずです」
「そっか……そうだよね。良く考えたら御使い様と普通に話してるのに……おかしいよね」
「あ、ついでに言うと、エルファスもアルドと同じ使徒なんで」
「えぇぇぇぇぇぇぇ? エルファス君も使徒なの? え? 何で? アルドが使徒なんじゃ無いの?」
あー、そう言えばオレが使徒である事は話してあったが、エルも使徒だとは言って無かったかもしれない。
「カズイさん、僕達は双子で2人共が使徒なんです。隠してるつもりは無かったんですが、言うのを忘れてました」
「御使い様が2人……そんな事があるんだ……」
カズイはエルに対して更に畏まってしまう。
しかし、実際にエルと話してみると、柔らかな言葉と雰囲気を感じるのか、徐々に馴染んでいった。
「そうなんだ。小さい頃からアルドには振り回されてたんだね」
「そうですね。でも、兄さまは凄く優しくて、僕を一番に考えてくれてましたから。嫌な感じでは無かったですよ」
「それは分かるかな。アルドは口では厳しい事を言っても、凄く優しいからね」
「そうなんです。兄さまは小さい頃なんて…………」
もう止めて! それって褒め殺しじゃないですか! アルド君のライフはもう0よ!!
本人の目の前で褒め殺しとか……オレが小さくなって俯いていると、アシェラが笑みを浮かべてエル達の会話に参加していく。
「アルドはボクにも優しかった。小さな頃からボクとエルファスを、とても大事にしてくれた」
「そうでしたね。兄さまは…………」
もう、本当に止めてください!! 本当に……お願いします! これ以上は泣いてしまいますよ?
「アルド、オレもあそこに参加してきて良いか?」
「オレも参加したいぞ!」
「頼む……本当にやめてくれ……後生だから……これ以上は本当 無理! もぅ、穴があったら入りたい……」
そんなオレを見て、ルイスとネロは大きな笑い声を上げたのだった。
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