第267話因縁 part1
267.因縁 part1
ライラとも無事?に事を済ました次の日、これで3人の嫁全てと無事に致す事ができ、胸をなで下ろしていた。
オレ自身も色々と持て余さなくても良いのは、本当に助かる。我慢できずに色街にでも行って、嫁達に見つかりでもしたら……恐ろしくて想像したくない。
今まで忙しかっただけに、数日間は嫁達と一緒にノンビリと過ごそうと思う。
数日後--------------
骨休みに入って数日が過ぎ、久し振りに思いっきり休める事が出来た。残す結婚イベントは友人を集めてパーティをするだけで、これが終われば結婚に関する一連は全て終了となる。
ガル、ベレット、タメイは騎士なので実家パワーを使って何とか時間を合わせてもらうとして、ネロやジョー達と騎士を辞めたノエルは直接聞かないと予定が分からない。
そろそろ一度、冒険者ギルドへ顔を出してネロ達と話をしようと思う。
因みに3人と致した後の夜の生活だが、基本は順番らしく毎晩交代で誰かがオレの寝室へやってくる。しかし、誰が来るかは、その瞬間まで分からない……実はオリビアに至っては初めての1回だけで、あれから一度も寝室へやって来た事はなかったりする。
ペロキングのせいで嫌になったのかも、と心配になったので、それとなくアシェラに聞いてみた所、女性特有の日が始まったらしく、それ以上は詳しく聞く勇気は無かった。
オレの夜の性活はこんな感じで、概ね順調であり満ち足りている状態だ。
朝食を摂り終えると、早速、3人に考えていた事を話してみた。
「冒険者ギルドに、顔を出してこようかと思うんだ」
「ボクも行く」
「そうか。じゃあ、一緒に行くか」
「うん」
「依頼を受けてくるのですか?」
「ブルーリングに帰ってから、もう直ぐ3ヶ月になるからな。一度、ギルドに行って王子からの依頼の話をしたいんだ。それと、ネロやジョーの予定も聞いてこようかと思う」
「分かりました。では私は夕飯の支度をして待っていますね」
「ありがとう、オリビア。それと、この家の管理を1人では大変だろ。前にも言ったけど、メイドを雇っても良いんだぞ」
「そうですね。ただ今は4人での生活を楽しみたいので。家族が増えた時に考えてみます」
家族が増える……それは子供という意味ですよね?これ以上、嫁が増えるとオレのストレスがヤバイんですが?
「そうか。ただ気が変わったら直ぐに言ってほしい」
「分かりました」
オリビア、ライラと軽く雑談をしてから自室へと戻り、ドラゴンアーマーに着替えたのだが……久しぶりのドラゴンアマーマーは歴戦と言うに相応しい風格が出ており、だいぶくたびれている。
やはり風竜戦での最後に、自爆覚悟の特攻でかなりの数の攻撃をもらってしまったのが大きい。
「今は良いけど、これも何とかしないとなぁ……」
オレ達の鎧は鎧自体が魔道具と言われるほどに、特殊な加工が施されている。
何も知らない防具屋に修理を依頼しても、壊されるか修理出来ないと返されるかのどちらかだろう。
いつの間にか王都からいなくなってしまった不愛想な防具職人の顔を思い出し、大きな溜息を1つ吐いてから部屋を後にした。
アシェラと一緒に新居を出てブルーリングの街を歩いていると、領民の中にオレだと気が付く者がポツポツとおり、頭を下げたり手を振ったりしてくれる。
ブルーリングの英雄、と持ち上げられるのを軽口で躱しながらノンビリと歩いていると、一瞬ではあるが路地の奥に看板らしき物がチラリと見えた。
こんな路地に店があるのか、と興味はあったが、特に何かをする事も無く、アシェラと一緒に冒険者ギルドへの道のりを進んでいった。
「ブルーリングのギルドは3年前の夏以来か……」
「ボクは3年前の冬だった気がする」
「使徒になってからは、ずっと王都だったしな」
「うん」
思い返せば、使徒になってからは何時でもブルーリングに“飛べる“と言う事で、母さん、アシェラ、クララはオレ達と同じ王都で生活をしていた。
ブルーリングの街が久しぶりなのは、オレと一緒でアシェラも同じと言う事だ。
2人で並び歩いて行くと、直にブルーリングの冒険者ギルドへと辿り着いた。
3年前に来た時は他の冒険者に絡まれて、返り討ちにしたんだったか……懐かしさを感じながら冒険者ギルドの扉を開いていく。
ギルドの中は王都のギルドと同じように、今日は休みの冒険者達が情報収集と言う名の雑談に花を咲かせていた。
懐かしさから一度ギルドの中を見回してから受付嬢の下へと歩いて行くと、オレ達をルーキーと勘違いしたのか、厭らしい笑みを浮かべた中年の冒険者が足を出して嫌がらせをしてきた。
嫌がらせ……畏れられる事はあっても、舐められる事など、何年も前に遡らないと記憶には無い……思わず懐かしく感じるほどである。
オレのそんな態度を見て怖がっている、と思ったのだろう。男は更に笑みを深めて口を開いた。
「おいおい、ガキが2人で何の用だ?ここは冒険者ギルドだぞ。死ぬ前に家に帰りやがれ」
以前のように返り討ちにしても良いのだが、また怖がられるのも面倒である。
あの腫れ物を扱うような態度は地味に”クル”のだ……出来れば穏便に事を済ませられるとありがたい。
考えた結果、オレは空間蹴りで男の足を飛び越える事に決めた。ワザと大きく空を駆け、男の足どころか頭の上を越えていく……
周りからオレの正体に気が付き”ブルーリングの英雄”と声が聞こえるが、反応したら面倒な事になる予感しかしない。
絡んできた男もギャラリーも、全てを無視して呆けている受付嬢の前に立ち声をかけた。
「すみません。アルド=ブルーリング、Eランク冒険者です。僕に指名依頼はきていませんか?」
王子からの指名依頼が来ていないか確かめるために声をかけると、我に帰った受付嬢は何故か立ち上がって”気を付け”の姿勢で話し出した。
「はい!あ、あります。指名依頼ありますです!」
まるで軍属が上官に話すような態度に、こちらが思わず引いてしまう……
「あ、あの、落ち着いてください……出来れば座って下さい」
「あ、私ったら……失礼しました……」
どうやら自分の態度がおかしい事に気が付いたらしく、真っ赤な顔をしながら何とか座ってくれた。
「改めて、アルド=ブルーリングです。指名依頼を見せてもらえますか?」
「は、はい。どうぞ!」
「ありがとうございます……」
3年前の受付嬢はやる気の欠片も無さそうだったが、この受付嬢はやる気だけはありそうである。
指名依頼の紙を受け取ると、依頼の数は全部で3つ。
1つ目はミルド領内の魔物の掃除だ。注釈には時間に余裕があれば考えてほしい、と書いてある。恐らくは以前やった仕事の延長で、勝手が分かっているからオレに負担が少ないと思い用意してくれたのだろう。
2つ目は”旧爪牙の迷宮”周りの魔物の殲滅である。どうやら数年前にオレ達が踏破した爪牙の迷宮の周りを開拓したいらしい。これも注釈には騎士の修練がてら、ノンビリ殲滅しても良いので気が向いたら手伝ってほしい、と書いてある。
あの王子、かなりキツイ事を言っていた気がするのだが……この依頼の出し方は、こちらへの配慮がスゴイ。
ヤツはツンデレさんなのか……ツンデレ王子。中年のツンデレ王子とか誰得なんだ。
そして最後の3つ目の依頼……何と依頼先はオレとも因縁があり、ブルーリングのお隣であるカシュー領だった。
最近、魔の森より魔物が溢れてカシュー領に軽微な被害が出ているそうだ。今ほ良いが、このままだとカシュー領内の街の1つ、ヴェラの街に大きな被害が出る恐れがあるらしい。
オレはこの指名依頼を読みながら冷や汗が止まらなかった……何故なら、将来、魔の森を開拓するために、数ヶ月前から森を少しずつ焼いていたのだ。
確かにブルーリングに影響が出ないように、西方向にコンデンスレイを撃っていたが……まさか魔物がカシュー領にまで逃げていたとは……
これ絶対に見つかったらダメなヤツじゃん!王子が大々的に調査をして原因がオレにあるってバレたら……ヤバイ、冷や汗が止まらない!
オレはこの瞬間、カシュー領を助けるために動く事を即決した。
いやー、過去の因縁とか言ってたらダメだよねぇ。今代の使徒が直ぐに助けに行きますよっと!
だから万が一、原因が分かっても怒らないでね?ね?頼みますよ?
こうして絡んできた冒険者と、その他ギャラリーを放って、一目散に領主館へと戻るのであった。
領主館に戻ると、先ずは氷結の魔女の異名を持つ母さんの意見が聞きたい。
しかし、屋敷の中をくまなく探してもヤツの姿が無い……しょうがなく50メードのソナーを打つも屋敷の中には反応は無かった。
「母様がいない。どこに行ったのか……」
オレの呟きを聞き、冒険者ギルドからずっと付いて来てくれているアシェラが、ボソッと呟いた。
「お師匠なら新居にいるかも……」
オレはアシェラの言葉に首を傾げながらも、他に心当たりも無い。半信半疑ながら母さんを探しに新居へと向かっていった。
直ぐに新居に到着し、リビングの扉を開けるとヤツはいた。まるでこの家の主は自分である!といわんばかりの態度で、ソファーに寝転がっているではないか。
しかし、何故、母さんが新居にいるのか……不思議に思っていると、ここ数日、ずっとリビングに居座って冷蔵庫のプリンやシャーベットを勝手に食べながら過ごしている事をアシェラが教えてくれた。
「マジ?何でオレは気が付かなかったんだ?」
「だって、アルドは部屋から出てこない。部屋で魔道具の開発をしているか、ぼ、ボク達とイチャイチャしてるかだったから……」
おうふ、そうだった。ここ数日のオレはアシェラやオリビア、ライラとイチャイチャしてるか魔道具の設計をしているかで、食事か風呂の時しか1階へ降りなかったんだった。
くそっ、知らない内に我が新居に”ヤツ”が住み着いていたとは……何かプリンの減りが早いと思ってたんだよなぁ。
少々、思う所はあるが、”氷結の魔女”が頼りになる事は事実である。
しょうがない、プリンをお供えに、魔女様から叡智を授かるとしましょうか。
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