第185話オッパイ星人

185.オッパイ星人





アシェラのお胸様が、お隠れになられて直ぐの事。


今は落ち着いたオレを見て、アシェラがオレに聞いてきた。


「アルド、どう?」


上目遣いで恥ずかしそうに聞いてくる姿は実にかわいらしい。

大きくても小さくても(どこがとは言って無い)オレはアシェラが大好きだ。


「か、かわいいよ……」


オレの言葉にアシェラは満足したように一度だけ頷いて、嬉しそうに笑った。

これは……どうなってる……アシェラは喜んでるように見える。


も、もしかして戦闘に邪魔で……き、切り取っ…た……とか?

股間がキュッと縮んだ気がしたが恐る恐る聞いてみる……


「あ、アシェラ……何か……ち、小さくなってないか?」


オレはアシェラの答えをドキドキしながら待ってると、当のアシェラは嬉しそうに話し出した。


「ボク、若返ったよ。これでアルドより年下になった」


ワカガエッタ?和歌がエッタ?WAKAGAETTA?………若返った!?

え?アシェラって16歳だったよな?10月の誕生日で17だったはず……


小皺が気になり出した氷結さんなら分かるが、何でアシェラが若返るの??

オレは意味が分からなくてアシェラに聞いてみた。


「あ、アシェラ、どうやって若返った……いや、そこはどうでも良い。な、何で若返ったりしたんだ?」


アシェラは恥ずかしそうに上目遣いで小さく呟いた。


「アルドが”年下はかわいい”って言ったから……でもボク、2つも年上だったし……」


オレは頭の中でスーパーコンピューター並みの演算処理を行使して、アシェラの言葉を分析する。


(まて!オレが言った?オレは寧ろ、もう少し育った方が好みだ。しかし、それを口から出した所を想像してみろ……この場は地獄になるぞ!!何がどうなっているのか全く分からんが、ここは褒めてオレは喜んだフリをするのが正解だと思う。理由は落ち着いてから、それとなく聞き出すのが良い……お胸様には後3年もすれば、また会える…はず…だ……)


オレは一瞬で考えを纏めアシェラに話しかけた。


「う、嬉しいよ、アシェラ。と、とても可愛らしくて今まで以上に好きになったよ……」

「うん……」


頬を桜色に染めてアシェラは嬉しそうにしている。

良かった……オレは正解を引き当てたようだ!


眠って体は回復したはずなのに、精神は寝る前より遥かに疲れている……

それと少し気になった事を聞いてみた。


「アシェラ、背も低くなって無いか?」

「うん、小さくなった」


「ドラゴンアーマー……ブカブカじゃないのか?」

「……」


アシェラはドラゴンアーマーを確かめてみるが、明らかにサイズが大きくなっている。


「アシェラ、王都に戻ってボーグに直して貰うまで近接戦闘は禁止だ」


戦闘は遊びじゃない。恐らくバーニアも今のアシェラには、思った通りの方向に発動しないはずだ。

オレの真剣な様子に、流石のアシェラも折れてくれた。


「分かった……」


こうして今回の件が落ち着いてボーグに鎧を直して貰うまで、アシェラは母さんと同じ魔法使いスタイルで戦ってもらう。

アシェラにとっては遠距離でも長距離でもどちらでも問題ないはずだ。


そしてオレは長い間、見守って来たアシェラのお胸様と、暫くのお別れになったのである。





唐突な話なのだが、オレはオッパイ星人だ。

オッパイには男(主にオレ)の夢が詰まっている。


おっと、オッパイ星人だからと言って大きいのが好きって意味じゃないぜ。

大きいのから小さいの、全てのオッパイを平等に愛している。



今回、アシェラのオッパイがペッタンコになって嘆いてしまったのは……まあ、あれだ……

例えば、毎日 水をやって育てていた苗に、やっと実がなりそうになって唐突に苗に戻ったような。


毎日エサをやって大きくなったニワトリが、卵を産むかと思って覗いてみたらヒヨコに戻っていたような。

そんな今までの努力と時間が無にされたような、言い様の無い気持ちを味わったからだ。


決してアシェラのオッパイがチンチクリンになったからでは無い。

オレは声を大にして叫ぼう。アシェラのオッパイならどんなオッパイでも愛せると!


大きけれボインボインのバイーンで○○や××で△△が良い。

小さければ小さいで◎◎の☆☆が□□で最高だ!


オッパイはオッパイの上にオッパイを作らず!


オッパイはオッパイでさえあれば至高なのである!


だが男のオッパイ、テメェはダメだ。


今回はこんな思考におちいるほどに精神的にクルものがあった。

発端はどうもオレの言葉らしいし、その場しのぎの適当な言葉は現に慎もうと思う……





オレが少し冷静になると、この場にはオレ、ペッタンコアシェラ、母様、そして紫の少女がいた。

紫の少女は最初にあった時のような凜とした気配など、どこにも無く 母さんの後ろからオレに熱い視線を送ってくる。


オレは訝し気に声をかけようとすると、母さんがそれを遮った。


「この子はライラ、私の昔馴染みの娘よ。どうも偶然エルフの禁忌に触れてしまったみたいで少しの間、この郷で謹慎させられていたらしいわ」

「そうだったんですか。そこにマンティスが襲ってきて出るに出られなくなった、と……」


オレは話しを合わせながら”そんな訳ねぇだろ!”と心の中で突っ込んでいた。

紫の少女ライラは空間蹴りを使う。そして母さんの知り合い。しかも手練れ……


すごく胡散臭い……


オレがどうしようか考えているとアシェラがライラに話しかけている。


「ライラ、どう?」

「うん、とっても可愛いわ」


何か凄く気安い……母さんだけじゃなくアシェラとも知り合いのようだ……

オレの知らないブルーリングの知り合いなのか?だとしたら母さんの説明も本当?


しかしオレより年下の少女がサンドラ領にあるエルフの郷で禁忌を侵して謹慎?

どうなってるのか全く分からない……絶対に有り得ない点と点がくっ付いているような不自然さを感じる。


3階の与えられた部屋でオレ達がくつろいでいると、タメイが部屋に入ってきた。


「あー、おくつろぎ中すみません。エルフの子供はブルーリングに飛ばし終わったッス。後はエルフの大人ですが少数ですが飛ぶのを拒否しているッス。どうしましょうか?」

「私が対応するわ」


母さんがタメイと一緒に移動していく。

ここからはエルフがどんどん減って、防衛線の維持が難しくなるはずだ。


「オレはエルと交代で防衛線を支える。ライラさんは……」

「ライラ!」


オレが話している途中で、ライラさんが食い気味で会話を遮ってくる。


「え?ライラさ……」

「ライラ!さんはいらない」


「え?」


オレがアシェラの顔を見ると何故か頷いている……


「ら、ライラ……」

「なーに?アルド君」


「あー、ライラはエルフと一緒に飛んでほしい」

「嫌よ」


「え?」

「私も一緒に行く」


どうなってるのか分からずにアシェラを見ると、またもや頷いている……


「あー、母様も承知してるのか?」

「うん。ライラはボク達と一緒に行動する」


「そうか……」


オレはこれ以上、話しても疲れるだけだと判断して会話を打ち切った。


「オレはエルと交代してくる。魔力は減らないが疲労は溜まるからな」


それだけ言ってオレはエルの元へ向かう。

エルの元に到着すると、エルは1人でマンティスの群れを抑えていた。


「エル、交代する」

「ハァ、す、すみません……ハァ、兄さま……」


ここに仮の領域がある以上、魔力は消費しないがエルはオレが眠っている間、ずっとマンティスを押さえていたそうだ。

ガルや他のエルフはどうしたのか聞いてみると、ガルやエルフ達は強がっていたが剣に腰が入って無く限界を超えているのが分かったらしい。


今はエルフに建物の補修、ガル、タメイ、ベレットの3人には、エルフを飛ばすための誘導をお願いしているそうだ。

それだけ言って後ろに下がると、エルはその場にへたり込んでしまう。


「ゆっくり休んでろ」


オレは魔力盾を両手に出すと、リアクティブアーマーをかけマンティスにくらわせてやる。

そこからは30分ほどでエルと交代し合い、防衛線を維持していた。


母さんと別れて2時間ほどするとオレとエルの元にガル、タメイ、ベレットがやってきて話し出す。


「アル坊、エルフは全員が飛んだ。残りはこの村長だけだ」

「そうか。村長もガル、タメイ、ベレットと一緒に飛んでくれ」

「本当にありがとうございます。この御恩は一生忘れません」


「こっちは王様からの依頼です。気にしn……」

「ちょっと待った!」


いきなり母さんがオレの言葉を遮った。


「こちらは人的被害こそ出て無いけど、急な食料の調達に逗留場所の確保、オマケに反対するエルフの武力制圧までやってあげた訳だけど……」


こいつ何言っちゃってるの?全部オレ達の中で話しあって納得の上で決めたじゃん!


「”御使い様”には感謝しても、し足りません。私共に出来る事があれば何でもさせて貰います」

「その言葉が聞きたかったわ。アオ、ガルとタメイとベレットをブルーリングに飛ばして」

「分かった。姐さん」


哀れガル、タメイ、ベレットはアオに飛ばされていく。ガルが何かを叫んでいたが全く聞き取れなかった。

今度、暇を見てブルーリングで、何を叫んだのか聞いてみようと思う。


村長からの言質を取った母さんは仮面の上からでも分かる程に悪い顔をして告げた。


「若返りの霊薬……」


村長の顔が驚愕に歪む……


「誰にも言わないわ……私が個人的に使うだけ。ほんの2本ばかり融通して貰えないかしら……」

「わ、若返りの霊薬はエルフの最大の禁忌。何卒それだけは……」


母さんは土下座する村長に耳元に何かを呟いたかと思うと、村長は紫の少女と母さんを交互に見て……最後に肩を落とした。


ナニコレ。ヤクザの手口じゃん……オレは乾いた笑いを浮かべて部外者を決め込んだ。





●)


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