第21話 【情報の錯綜】

ロボ「ご主人、問題が発生しました」


少女「お、どうしたの?」


ロボ「ワタシがアクセスしている情報にバグが見つかったようデス」


少女「バグ?」


ロボ「ワタシではない誰かがアクセスしたことで、様々な問題が発生していマス」


少女「え、じゃあ、生きている誰かがいるってこと!?」


ロボ「まあ、そういう意味では良いニュースと言えるのデスが……」




少女「え、情報を操作して楽しんでいる人ってこと?」


ロボ「いえ、人為的なバグではなく、アクセスが雑だったために、過剰防衛反応をしてしまっているような感じデス」


少女「変なウイルスが入ったからめっちゃ熱出ちゃった、みたいな?」


ロボ「ええ、まあ、そういう感じデスね」


少女「じゃあ情報がおかしくなっちゃってるの?」


ロボ「ええ、現に今ワタシたちが歩いているこの場所は、『海』ということになっていマス」


少女「海!?」




ロボ「このまま歩くと遭難しマス」


少女「んー、まあ、大丈夫でしょ」


少女「ポンコのナビがなくても、まあなんとかなりそう」


ロボ「それはそれでちょっとショックデスが……」


少女「待ってて直るとも限らないんでしょ?」


ロボ「かかる時間はわかりませんが、元通りになるプログラムは必ず用意されているはずデスから、いずれは直ると思いマス」


少女「あ、そうなの」


少女「じゃあやみくもに進まず、適当にこの辺で時間をつぶしましょうか」




ビビーッ ビビーッ!!


ロボ「!?」


少女「!?」


ロボ「キンキュウ ジシンソクホウ デス!」


ロボ「スグニ ツクエノシタニ モグリコンデクダサイ!」


少女「机なんてないけど!?」


ロボ「ツヨイユレ ヲ カンソクシマシタ!」


少女「揺れてないけど!?」


ロボ「ザブトン デ アタマヲ マモリマショウ!!」


少女「座布団なんて持ってないけど!?」




ロボ「失礼、今のもバグのようデス」


少女「あんたが壊れたのかと思ったよ……」


ロボ「申し訳ないデス」


少女「まあ、そんな不具合はいつでも起こりうることだしさ」


少女「気軽に行こうよ」


ロボ「デスが、やはりこの状態でうろうろするのは……」


少女「大丈夫大丈夫、気にすんなー」




少女「あれ、向こうの方になんかいるぞ」


少女「サルかな?」


少女「結構群れを成してる感じだけど……危ないかな?」


ロボ「ワタシのサーチによると、あれらは20%の確率で『サル』デスね」


少女「ひっく! 残りの80%はなんの確率だ!」


ロボ「ワタシのアクセスした情報によると、『サル』の映像はこんな感じデス」


ピピッ


少女「え、なんか変な映像が混じってるぞ」


ピピッ


少女「これお笑い芸人の人じゃん、確かにサルっぽいけどさあ」


ピピッ


少女「これ戦国武将じゃん、サルの割合めっちゃ低いじゃん」




ロボ「という訳であれらは20%の確率で『サル』デスね」


少女「ほぼ100%だ! あれはサル! わたしはわかるぞ!」


ロボ「仮にサルだとすると、近づくのは危険デス」


少女「仮にってのが気になるけど、うん、やっぱそうだよね」


ロボ「死んだふりでやり過ごすのが効果的デス」


少女「それデマじゃん! ていうかクマ対策じゃん!」


ロボ「黒い服を着て暴れると逆効果デス」


ロボ「白い服を着てゆっくりと後ずさりをするのが効果的デス」


少女「それはハチ対策!!」




ロボ「とりあえずご主人は、どう進みたいデスか?」


少女「え、そりゃあまあ、ここまっすぐ行きたいけど……」


少女「向こうに大きな建物があるし、なにか旅に必要なものがある気がするから……」


ロボ「ではまっすぐ進みましょう」


ジュワッ!!


少女「ぎゃ!」


サル「キキーッ!! キキーッ!!」スタコラ


ロボ「強行突破デス、サルなど蹴散らしマス」


少女「ビーム出すなら先に言って!!」




ロボ「サル対策には、実は目からビームが一番効果的デス」


少女「大体なんでもそれで倒せそう……」


ロボ「ご主人の行く先を阻むものは、なんであろうと焼き尽くすのみデス」


少女「ポンコが危険な兵器っぽくなってる……」


少女「自我を持っちゃだめなタイプのロボットっぽい……」


ロボ「さあご主人、ワタシの自我が保たれているうちに進みましょう」


少女「いずれわたしも焼かれるっぽい……」




ロボ「おや、この辺りはマグマだまりデスね」


少女「あんたの地図どうなってんの!?」


ロボ「情報が混乱したままデス、このままだと非常に危険デス」


少女「うん、まあ、ポンコツ具合に拍車がかかってるから、ほんと早く直ってほしい」


ロボ「ご迷惑をおかけしマス」


少女「お? あの建物、なんちゃらロボティクスって書いてない?」


ロボ「あの建物は35%の確率でピラミッドデスね」


少女「なんでサルより確率高いねん!」


少女「とりあえず、あそこ目指すぞ!」


ロボ「了解デス」


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