第18話 【じゃがいも】

ロボ「おや珍しい、畑がありマスよ、ご主人」


少女「わ、広い畑!」


ロボ「人が世話をしなくても、それなりに育っていマスね」


少女「時々雨が降ってるからかな?」


ロボ「あの葉のかたちは、おそらくじゃがいもデスね」


少女「え、好き! じゃがいも好き!」




ロボ「この葉のかたちは、98%の確率でじゃがいも!」


ズボボボボッ


少女「お見事! ってかでか! 多!」


ロボ「ずいぶんここの土は栄養があったんデスかね」


少女「へえー、じゃがいもって、こんな風にできるんだ」


ロボ「見たことはなかったのデスか?」


少女「うん、畑の姿は知らなかったなー」


ロボ「さあ、せっかくですから食べましょう」


少女「おう!」




ロボ「まず半分に切りマス」


少女「ふむふむ」スパッ


ロボ「10センチほど土を掘り、半身を埋めマス」


少女「ふむふむ」ゴソゴソ


少女「ん?」


ロボ「あとは間引きをしながら、水をやれば半年後には立派な」


少女「気が長いわ! 今食べようよこれ!」


ロボ「失礼、これは栽培の方法でした」


少女「しっかりしろ!」




ロボ「では、ジャーマンポテトなどいかがでしょう」


少女「ほう、うまそうな名前」


ロボ「缶詰のソーセージを使うとパーフェクトな味ができマスが」


少女「うむむ、贅沢だけど久しぶりに使っちゃうか!」


ロボ「塩胡椒も必要デス」


少女「よしよし、久しぶりにちゃんとした料理だあ!」




ロボ「ちなみに『ジャーマン』は『ドイツ風』という意味デス」


少女「へえ、ドイツ料理なんだ?」


ロボ「しかしドイツには『ジャーマンポテト』は存在しません」


少女「……!?」


ロボ「他国が勝手に『ドイツ風肉じゃが』といった感じで名前を付けただけデスからね」


少女「あ、そっかそっか」


少女「『広島風お好み焼き』みたいなものか」


ロボ「その話題は戦争になりマスよ!」


少女「明石焼きを『出汁で食べるたこ焼き』と呼ぶような」


ロボ「その話題も危険デスよ!」




……


少女「うあー、美味しかった!」


少女「ごちそうさま!」


ロボ「ご主人、なかなか料理のセンスがありますね」


少女「ポンコの教え方が上手いのよ、きっと」


少女「さて、この残ったじゃがいも、どうしよう」


少女「まだまだたくさんあるけど、腐らせちゃうのもなあ」


ロボ「ご安心を! ご主人!」


ロボ「じゃがいもは実は、とても長持ちするのデス!」


少女「え、そうなの?」




ロボ「まずは紙で包みマス」


少女「ふむふむ」ガサガサ


ロボ「そして黒い袋で包みマス」


少女「ふむふむ」ゴソゴソ


ロボ「そして私の頭で保管しマス」


パカッ


少女「え、そこ開くの!?」


ロボ「そうすればかなり持ちマスので、またそのうち調理しましょう」


少女「あんた頭の中空っぽだったの!? じゃがいもホルダーなの!?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る