第17話 【お風呂】

ロボ「ご主人、最近少しくさいデス」


少女「オブラートに包め!」


ロボ「ここしばらく野営が続いていマスからね」


少女「う、まあ、身体洗えてないから、ね」


ロボ「ワタシが調べましたところ、ガスも電気も不要のお風呂があるとか」


少女「え、ほんとに!?」




ロボ「まずドラム缶を用意しましょう」


少女「ドラム缶!? 気軽に用意できるもんじゃないよ!?」


ロボ「おそらく、この先の工業用廃棄場で入手できマス」


少女「それ油まみれじゃない!?」


ロボ「あとはコンクリートブロックと」


少女「こ、この先の工業用廃棄場で入手できそう!」


ロボ「すのこ用木材、燃料用木材」


少女「それも入手できそう!」




……


ロボ「揃うものデスね」


少女「で、えっと、どうすればいいの?」


ロボ「空気が通りやすいようにブロックを並べて、その上にドラム缶を乗せマス」


少女「え、腕力足りる?」


ロボ「インスタント・ユニットを装着しマス」


ガチャコン


少女「腕増えた!?」


ロボ「これで重い物もなんのその!」


ウイーン




ロボ「それから、すのこを丸く切りマス」


少女「あ、それならわたしでもできそう」


ギコギコ


ロボ「ワタシはその間に燃やすための木材を探してきマス」


少女「ふう、ふう」


ギコギコ


少女「あはは、なんか楽しい、こういうの」


ギコギコ


少女「あ、これ、切り落とした部分も燃やせるな」


ギコギコ


少女「あれ、『すのこ』ってそもそもなんだ?」


ギコギコ




ロボ「では次は水を汲みましょう」


少女「それ結構大変そうだね」


少女「ていうか、この近場で水出るとこある?」


ロボ「リサーチ済みでございマス」


少女「お、さすが!」


ロボ「すでにホースの準備も万端デス」


少女「おおお、さすが!」




ロボ「熱くなりすぎたときのために冷ます用の水も用意しておきましょう」


少女「お風呂の温度って、どれくらいがいいの?」


ロボ「40度から41度くらいが適温デスかね」


少女「そんな狭いの?」


ロボ「ワタシの指でしっかり測れマスから、大丈夫デスよ」


少女「へえ、便利」


ロボ「今ならなんと四本腕デスから、四か所同時に測れマス!」


少女「その機能いるかな……」




ロボ「さあ、火を焚きマスよ!」


少女「おう!」


ゴォォォ


ロボ「さあ、この竹筒を吹くのデス!」


少女「おう!」


少女「ふーっ! ふーっ!」


ゴォォォォオオオ


少女「わ、すごい燃えるね!」


ロボ「その調子デスご主人!」




少女「どう? 温度」


ロボ「ばっちりデス」


少女「よ、よし、じゃあさっそく……」


少女「あれ、これ、どうやって入るの?」


ロボ「……」


少女「どこ触っても熱そうなんだけど」


ロボ「……」


少女「ポンコ?」


ロボ「入り方まで考えていませんでした」


少女「おい!」




ロボ「ワタシを踏み台にしてクダサイ」


少女「う、うん……」フミッ


ロボ「ふちは意外と熱くないので、そこを持って入ってクダサイ」


少女「あ、ほんとだ、お、おっとっと……」


ザブン


少女「うあー」


ロボ「どうデス?」


少女「さ、さいこおー」




ロボ「ドラム缶風呂の他に、『五右衛門風呂』という文化も昔はあったようデス」


ロボ「そちらは、ドラム缶ではなく木の桶のような形だそうデスが」


少女「五右衛門? なんか人の名前みたい」


ロボ「そうデス、五右衛門という人を処刑する釜茹での刑から名前が付いたそうデス」


少女「こわっ!!」


少女「え、これ処刑なの!?」


ロボ「お湯加減はいかがデスか?」


少女「こ、心なしか熱く感じるような……」


ロボ「もっと上げマスか?」


ゴォォォオオオオ


少女「や、やめて!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る