第16話 【誕生日】

ロボ「ご主人、誕生日がもうすぐデスよね」


少女「あ、そういえばそうだったな」


ロボ「ケーキは難しいデスが、なにかお祝いしましょう」


少女「んー、って言ってもなあ」


少女「祝ってる場合じゃない、というか」


ロボ「まあ、そうなんデスけど……」




少女「あ、そういやさ、あんたの誕生日は?」


少女「誕生日というか製造日というか、なんというか」


ロボ「ワタシの誕生日と言えるのは、ご主人に起動してもらった日がそうデス」


ロボ「なのでまだ0歳デス」


少女「あはは、なるほど」


少女「つまりまだあんたは赤ちゃんなわけか」


ロボ「ええ、日々成長中デス」


少女「ロボットって成長すんのか……」




ロボ「しかし日本には、生まれた日を1歳と数える風習もありました」


少女「え、そうだっけ」


ロボ「生まれて1歳、そして新年を迎えるたびに年を取る」


少女「はー、なるほど、なんか聞いたことある気がするぞ」


ロボ「そのシステムを利用すると、ワタシはすでに1歳デスね」


ロボ「そしてご主人はすでに15歳デス」


少女「うわあ、なんか変な感覚」




ロボ「ご主人、誕生日に欲しいものはないデスか?」


少女「え、世界平和とか?」


ロボ「即答の割に回答が重い!」


少女「充電不要で動く相棒ロボット!」


ロボ「心が痛い! 心はインプットされていませんけど!」


少女「ヘリと免許!」


ロボ「ワタシが運転した方がマシそうデス!」


少女「イケメンの彼氏!」


ロボ「それをプレゼントしてしまうとワタシがお邪魔虫に!」




少女「うそうそ、あんたがいればそれでいーの」


少女「それよりあんたこそ、1歳になったらお祝いしたげるからね」


ロボ「あ、ありがとうございマス」


少女「新しい名前とか、あげようか?」


ロボ「ワタシはポンコで満足していマスよ?」


少女「ポンコツが由来なのに?」


ロボ「ええ、ご主人に最初に頂いたものデスから」




少女「あ、じゃあ前に言ってた、容量の大きい記憶チップにしよう」


ロボ「ああ、それは嬉しいデスね」


少女「まあ、もともと探すつもりではあったけど」


ロボ「いえいえ、嬉しいデスよ」


ロボ「そのためにも、この旅を順調に終わらせたいデスね」


少女「うん、がんばろ!」




……


ロボ「ご主人、そういえば今日はご主人の14歳の誕生日デスね」


少女「あ、そっか、今日か」


少女「すっかり忘れてたな」


ロボ「あちらのビルをご覧クダサイ」


少女「え?」


ロボ「ささやかながら、ワタシからのプレゼントデス」


『H A P P Y B I R T H D A Y』


少女「わ、すご、窓の明かりが……!?」


少女「ポンコ、これあんたがやったの?」




~HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪~


~HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪~


少女「え、この音楽はどこから?」


ロボ「この近辺のスピーカーのうち、生きているものを厳選しまして」


少女「いつの間にこんな準備を?」


ロボ「ご主人の目を盗みながら」


少女「あ、それで今日あっちこっち探索してたの?」


ロボ「ええ」




ロボ「お誕生日おめでとうございマス、ご主人」


ロボ「よい1年にしてクダサイ」


少女「あ、ありがとう、ポンコ、こんなサプライズ」


ロボ「こんな世の中デスから、あまり良いものは用意できませんが……」


少女「ううん、全然、すごい嬉しいよ」


ロボ「ちなみにこれの準備でエネルギーを大量に使ったので、早急に充電の必要がありマス」


少女「おバカ! うふふ」


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