第24話
行きと同じようにバイク乗るんだが
気持ちだけが違ってて、
真っ暗な闇へ突っ込んで行くかのよう。
記憶が違わなければ大体あの辺ってとこまで進んでく。
無言で。
身体は近いけど心は遠いみたいな、
そんな感じ。
回された手が離れていくんじゃないかって思うだけ。
いや、まさか走行中飛び降りはしないだろうが。
「近いとこまで寄せるから、
細かな道は指示してよ。」
そう叫ぶと、
虹色のヘルメットがコンと当たって,うんと聞こえた気がした。
そんなの端末へ呼びかけてスタートすれば分かる.
そっちのが簡単で早い.
だけど,声張って,あっち!?
え!?こっちなの?違うっ!?
やっぱ,あっちっ!?
戻る!?あー戻らなくていいや,あぁ行ってこぅ行くからって.
2人で何かする方を選んだ.
面倒の方がいいと思ったんだ.俺は.
2人で着くまで協力した方がいいと思ったんだ.
全然見覚えのない景色が流れて、
学校らしきは分かる場所まで辿り着く。
ゴールだが…ゴールじゃない.
門は閉じてた。
「今日は休みなのっ。」
っておんちゃんが言うんだが、
「こんなの跳び越えて入んだよ.」
って言っちゃってて、
すげぇ顔で見られてた。
あぁ…
そんな事はしないだろうな。
門に立つおんちゃんが。
学生で。
俺は、ひょっとすると。
保護者で。
もういっその事、中に入れ込んで
ほら、こことここで境界線なんだよって。
立場の違いは明確で。
「今日は休みなんです!!!」
って騒ぐおんちゃんを
チラッと見て…
「そのようだねーさぁ乗って帰ろうねー。」
って言ってた。
「ミートソース飛んでるよ制服に.」
そう言うと,
グーパンチ飛んできて片手で受け止めた.
学校まで来て何がしたかったんだろうって考えて.
学生に戻りたいとか,どんな気分でも無くて.
おんちゃんは学生.
それを目に焼き付けたって感じだな.
ついでに,いちさんとしちさんのお孫さん.
だった.
俺は,しがないドラマーで.
うだつも上がらない.
これから,こうやって生きていくのか,
自分の人生の責任も.
ましてや嫁さんの人生までも。
夢を追えるだけ追っても…
手元に何が残るのだろう.
「世の中の人を見て御覧.
好きな事やって生きている人なんて一握りだよ.」
何故か占い師が占いもせずに諭してきた事を思い出した.
勝手に捉まえて,こっち言ってくんな,
これだから駄目なんだよって思っちゃった事を
許してください.
おんちゃんが可愛い.
可愛いからこそ.
未来…見えなくないか?
幸せになって欲しい.
幸せにしたい.
だったら手段は?
出来るか?
天井が遠く見えた.
1人座って…上を向いた所で.
多分これ、きいちゃんとうまくいってたら
考えなかった。
同じ様な者の前で、こんな事考えない。
だけど…
だけど…
おんちゃんは違う。
おんちゃんは…違う。
急に未来が読めなくなった.
今まで分かってたって訳じゃねーけど,
大体こーんな感じでって…
全く予想も出来ねーし.
一緒に苦労してくれる?
なんて言いたくなかったし,
苦労は自分だけすればいい事なんだけど,
目に見えて手に取る様に
体現する自信が…
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