第4話

「メンバー…」

ペダル外してたら,

スネア外してくれてるじんが…

口開くもんで…ゆっくり見上げた.

頭打つかと思った.

見つめ合って…

何…?

メンバーが…

何?

次は?

俺は,もう用無しか.

好き放題やっちゃってたか.

…まぁ確かにな.

俺,

機材…

誰それ構わず触らせたくねぇよ.

じんが…

同じように大切に扱ってくれるから…

やべぇ

泣けてくる.

何で

こんなに

ボロボロなんだろう.


俺ボーカルだったら,

ひとは残して置きたい.

時々,他誘われてるって聞く.

上へ行くなら…

ならば,凄い奴揃えて置きたい.

そんな事,

誰しも考える事で,

安パイ置くよりハズレとか以ての外で.

はぁ…

「うん.

分かるよ.」

言った瞬間,右目からポロって零れた.

あぁ…

コンタクトか.

部屋乾燥してるのかも.

帰りどうやって帰ろうか.

赤信号と車さえ判別出来たら運転できる.

人とチャリは言わずもがな.


「泣いてんの.」

「泣いてねぇ.」

片方,視界がおかしいかと思いきや,

全面がぼやけてて…

「泣いてる?」

「泣いてる.」

「そかそか.」

俺,泣いてるか.

「のんびり片付けて帰るから.

…じん,先帰ってよ.

ひとやきぃちゃんに,よろしく言ってて.

もう会わない.」

会えない.

こんなボロボロで.


「入れ替えよう.」

「あぁ,いいよ.」

今度は走んない奴にしとけよ.

笑えた.自分を嘲笑えた.

「ありがとな.

もう限界だった.

最後にぶちまけて飛び出せたら良かったのかもな.

発酵した気持ちを腐敗させちまう.」

疲れた.

そう疲れ切ったんだ.

「止めなきゃ良かった.」

ん?あぁ…

「分からねぇよ.

でも,あの時,この場所で,

じんが考えて動いてくれた事.

理解できる.」

でも有難うかは分からない.

黙々と,また作業に集中するじんに…

最後だからと思っての手向けを

無下に断るのも

男気足らねぇかぁと.

出した言葉を,そのままにして

好きなようにしろと.

駄目だ.

ボルトが見えねぇ.

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