第2話

「自分の体も一緒に燃え尽きてしまう位の

情熱的な恋がしたいんだ.」


目の前の奴は

そう言った.


まぁ…

分からんでも無いけど…

どう

繋げていいのかが

さっぱりよく分からなかった.


「ちょっと話せるかな.」

から,

何で

そんな繋がりになるんだろう.


感覚的な話の繋がり…

なのか?


それとも

聞こえないだけで

非言語的な

ものを態度で出してた?


っかぁ…それかぁ…

な訳ねーだろ.


はたまた,

聞こえないだけの言葉を

周波数的に出してた?

それも怖すぎるよって.


「分かってくれるか?」

って言ったよな…今.

何だ,どれ正解か.


「まぁ…

分からんでも無いけど.」

正直だ.

これが俺の正直だ.


うおぅ…

逆羽交い絞めか.

言語返信間違ったか.

有難うって耳元で言われた.



あぁっあぁ…

俺にっ?

そういう?

情熱を向けるって?

そゆこと?


無理じゃない?


「ごめん…

傷付けたい訳じゃないんだけど…

俺…

恋愛対象はグラマーな子がタイプなんだ.」


言ってはみたものの.

んじゃふくよかになってやるよとか

言われたら…

もう何だか

疲れるだけの話になるなとか思って.


「俺もだよ.」


俺もだよ…?

こっちがふくよかになれって,

そゆこと?


「なんか くどいわ.

遠回り.

何が言いたい?」


「もてるために組もう.」

無言で勢いよく腕取った.

「それを早く言えよ.」

笑うしかない.


もてるために始めたけど,

きぃちゃんに振られた.

あ~ぁな感じ.

なんで

ひとなんか選ぶんだよっ.

不愛想で…

ちょっと

いや,かなり

かっこよくギター鳴らせる奴じゃないか.


メンバーでジャムってて.

きぃちゃんも目輝かせながら,

歌詞考えてた.

ちょっと,それ見ながら

俺もドキドキしてた.

俺でありますように.

神様.

どうか俺の事でありますように.

そう願ってた.

1回目のサビ前は片思いを謳い,

1回目のサビ後は気持ちが通じる.

メロディ乗せながら,

皆盛り上がってたと思う.

最終的に

ベースのきぃちゃんは,

ギターのひとに告った.

公開告り.

俺,何にもしてないまま

後悔.

でも,

阿吽の呼吸で

ひとも受けてた.

だから,もう…

入る隙も無かった.


ちょっと待ったなんて

自信がある奴しか出来ない.


「ちょっと体格良くない?」

何?トリップしてた.

「え?俺の事?」

「そうそう.」

ひとがずけずけと言ってくる.

デリカシーがねぇのよ.

「お前らみたいに動き回れんからな.」

「動けばいいんじゃない?」

きぃちゃんが笑う.

「鼓笛隊みたいに?

ちょっと俺だいぶ浮かない?」

きぃちゃんが更に笑う.

あぁ,可愛い.

もっと笑顔が見たい.

未練がましい.

だけど,止められない.

ひとが…

きぃちゃんの肩を抱いた.

「視線エロい.」

ぐっと…目を閉じる.

はぁ…

「悪い.

そんなつもりは無かった.」

手を…両手を上げて,

落ち着かせようとする.

空気を.

自分を.

半ば降参気味に.


「仲良くやろうよ.

空気良くないよ.」

じんが声出した.

じんの声は好きだ.

この声が,とろとろと気持ちを謳う.

せつせつと代弁し,くつくつと馳せる.

彼が居れば,もう大丈夫なんじゃないかと.

この空気に耐えられるか.

この中で俺やれるのか.

笑顔作って堪えられるのか.

もう不確定要素が多すぎて,重苦しい.


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