第3話 仕事の王子再び

仕事の星でひとりの大真面目なカネモチという男が、遊びの菌の新聞記事を読みました。

すると彼は大真面目で宇宙船に忍び込んで、僅かに船内に付着していた遊びの菌を丁寧に採取して、大真面目に研究してそれを沢山増やす事に成功したのです。

カネモチは遊びの菌をどんどん増やして、またその中で大笑いする為の密閉部屋をセットにして、とても高い値段で人々に売りつけて大儲けをしました。

本当なら盗みと悪い薬を売った罪で逮捕されるはずでしたが、カネモチは大儲けしたお金で沢山税金を王様に払っていたので、逮捕される事はありませんでした。

カネモチが行なったこのことで、星中に混乱が生まれました。

まず、働く人が減ってきました。

遊びの菌を吸った人は笑うだけで働かなかったからです。

真面目の果実を真面目に食べて真面目に戻る人もいましたが、多くの場合は遊びの菌に冒されると真面目の果実は不味くて食べられなくなるのです。

遊びの菌を吸った人は、もう笑い続けながら命を落とすしかなかったのです。

それでも遊びの菌の人気は大したもので、人口がどんどん減り、王様に入る税金もかなり減ってしまいましたので、王様は真面目に困ってしまい、息子の王子に相談する事にしたのです。

王様は息子を呼び出してこう言いました。

「かくかくシカジカである」

「そんなことなら心配いりませんよ! 僕にいい考えがありますから」

「そうか、是非わしに教えてくれ!」

「僕が再び遊びの星に行って、遊びの王様から幸せの果実の種を貰ってくれば良いのです。それは大変美味しくて、種を蒔くと勝手にどんどん実るのです」

「しかし、その種は幾らするのじゃ? 実は今、税金がマジで減って金がないのだよ」

「全然OKです。遊びの王様はタダでくれると思います、あの星にはお金が必要ありませんから」

「エッ、そうなの?じゃあすぐ行って貰って来てよ!」

「分かりました」


そんなわけで、仕事の王子は再び遊びの星に行くことになり嬉しくなりましたが、顔だけは大真面目なふりをしていました。


遊びの星に、以前結婚式でカンカンになって怒って帰ってしまった仕事の星の王子が遊びに来たいと言う連絡が入り、遊びの王様は大変喜び、家来達に遊びながらで良いからもてなしの会場を作る様に命じました。


遊びの星に再び降り立った仕事の王子と家来達は懐かしくて喜びが湧いてきました。

遊びの家来達は、彼らを適当に会場に案内して座らせました。

いつも通り、幸せの果実とゲラゲラ水、笑い酒が準備されていました。

遊びの王様は頭にツルッパゲと描き、王妃はチンチクリンな鼻の下にマジックペンで鼻毛を描いて登場しました。


つづく

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