イイことがしたい。

第9話

『今日のお相手は、この子』

　写真と共にその文言を投稿すると、すぐに数件のいいねがついた。

　私は、すっかりラブグッズの虜になってしまった。

　使ってみて、使用感を投稿する。いいねがつく。詳細を聞きに、というかエッチなトークをしにDMがくる。それをいい感じに躱しながら返信をする。

　それでセックスしてもらえない飢えを全て埋められる訳じゃないけど、自分がまだ「女性」なんだと再認識させてくれるモノとヒトができた。

　たまにDM上で擬似セックスみたいなこともしたり。相手がエッチな言葉を送ってきて、それに返信しながら私は自分をラブグッズで刺激する。

　最初に勇気を出してコメントした女性とは、今では愚痴を言い合いつつ、おすすめのエッチな本や映画を教え合う仲だ。

　彼女はセックスするだけの相手をひたすら探しているようだけど、私はそこまでするつもりはない。

　やっぱりエッチは一樹としたいし、してくれなくても好きな気持ちは変わっていないのだ。残念ながら。

（ここで残念って思っちゃうあたり、性欲強いなあって悲しくなるけど）

　自分に苦笑しながら、今日も新しいラブグッズを夜な夜な探す。

「なんか最近色っぽくない？」って一樹がハグしてくるようになったのは、少し前向きに捉えていいのだろうか。

「そう？」って言いながら小首を傾げると、その首元にキスが落とされた。

「浮気とかしてないよね？」いたずらっ子のように言われて、私は苦笑する。

「するわけ、ないでしょ？」

—END—