第8話


 興味を持ったら一直線。それが私のいいところだと思う。

 あの日、ラブグッズを検索した私は、女性向けのそういうお店があることを知った。柔らかい素材で作られていたり、女性が痛くないように設計されたものたち。

 見た目も可愛らしく、それでいて興味をそそる宣伝文句。

 近くにショップがあるのを知ったので、休日、実際に出かけてみた。


(まさかこういう作りとは……)


 若者が集うファッションビルの一角、そこにポップアップショップが出ていた。アダルト商品を扱っているとは思えない明るい照明。外から見えないように設置されている布も、白くて爽やかだ。

 逆にだからこそ、入るのを躊躇した。


「こんにちわ〜」


 その布の向こうからひょこっと女性が現れ、飛び上がった。


「お気軽に入ってくださいね」


 優しい笑顔に、せっかくここまで来たし!と中へ入った。

 そこには柔らかい色合いのグッズが展示してあって、思わず「おお」と声が漏れた。店員さんがニコニコしながら声をかけてきてくれる。


「手にとっていただいて大丈夫ですので。何かあればお声がけくださいね」

「は、はい!」


 かなり挙動不審である。何せ、こういうラブグッズを見るの、初めてなのだ。小さいものから大きなものまで、種類があり過ぎてよくわからない。使用方法すら、わからない。

 わからないものは、聞くしかない。


「あの……これって中に入れるんですか?」


 可愛らしいデザインのものを指差すと、ああこれは、と店員さんが手に取った。


「外に当てるタイプのものです。こっちから先に置いてあるのが、中に入れても良いタイプです」

「な、なるほど」

「この先っぽ、柔らかくて気持ちいいんですよ〜触ってみてください」


 そう言って差し出されたのは中に入れると言われた方のもので、確かに先がふにふにしていて気持ちいい。これを、挿れる、のか。いまいち想像がつかない。


「電源ボタンを押せば三段階で振動しますし、防水加工なので洗えます」

「振動?!」


 驚くと、動くのありますよと別のを持ってきてくれた。ボタンを押すと、ヴーーーと低い音で振動した。こういう感じなのか!これなら音も、響かないかもしれない。


「変なことだったらごめんなさい。……使ったことありますか?」


 赤くなりながら聞くと、店員さんはまたにっこりと笑った。


「使ってますよ。私のお気に入りは、これです」


 ちょっと小ぶりなそれは全体がぷにぷにしていた。


「これは外に当てるタイプなんですけど、ベッドで使ってもいいし、お風呂で使うのも気持ちいいですよ」

「……はあ〜」


 感嘆の声を漏らすと、くすくす笑われた。


「ご自分で使われるのを探してますか?」

「……と言いますと?」

「パートナーと一緒に使えるのもあるので」


 キャパオーバーだ。


「と、とりあえず一人で使ってみようかなって。思って、ます」


 色々店員さんの話を聞いて、二つほど購入した。早速、帰宅したら使ってみよう、とドキドキしながら。

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