第7話

『う、噂には聞いたことが……!』


 そう返信すると『ネットでも買えるから買ってみたら?これ、当てるだけでゆずさん、めちゃくちゃ感じちゃうかも』と返ってきた。

 ゴクリ、と喉が鳴った。

『めちゃくちゃ感じちゃう』の?それってどういう感じなんだろう。セックスより、気持ちいい?

 検索してみようか悩んだら、URLが送られてきた。変なのだったらどうしようと思ったのは一瞬で、すぐにクリックした。

 出てきたのは先ほど送られてきた写真と同じような商品で、値段も1000円ほど。こんな安く買えるのか。

 そして私は新しい知識を手に入れた。


『ラブグッズ、って言うんですね、こういうの』

『早速見てくれたの?ゆずさん、エッチだね』


 ずっとこういうノリで会話を続けなければいけないんだろうか。少し面倒くささを感じてしまって、話を畳むことにした。


『ごめんなさい、主人が起きちゃった。今日は楽しかったです。ありがとうございました』

 

 そしてそのままアプリを閉じた。


「ふう」


 慣れないことをするのは疲れる。それになんだろう。同じレスの人と仲間意識を分かち合う、そういう会話じゃなかった気がした。言うなれば、飢えた人があわよくばエッチなことをしようと……。


「そういうこと?」


 自分で言って驚いた。そうか、自意識過剰かもだけど、そういうこともあるかもしれない。気をつけよう。でも……。


「エッチだね、って」


 お腹の中がぐんと重たいような感じがして、抱かれたくなった。

 けれどそういうことをしてくれる相手は爆睡中で……最近はレスだ。

 仕方がない。ラブグッズで検索してみよう。そして私は新しい世界を知ることになる。

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