第2話
「今日、してもいい?」
ソファーに座ってお互いにスマホをいじっていた。一樹はいつもモヨオすタイミングが判らない。のんびりした空気だったのに、急に腰のあたりを撫でられた。
「良い、けど。明日早いんじゃないの?」
「早くても、起こしてくれるでしょ?」
そう言ってTシャツの裾から入り込んだ大きな手は、弱い腰骨の上あたりを彷徨う。「ん……」と鼻にかかった声が漏れて、私は恥ずかしてく口を覆った。
「ここでするの?」
「しない。ベッド行こ」
グイッと手を引っ張って、一樹はゆっくりと寝室へ向かう。ごそごそとベッドのサイドテーブルを漁って、ゴムを一つ、取り出した。
——彼は、基本、私になにもさせない。
例えば私の元カレたちは(と言ってもそんなに人数いないけれど)、こちらへの愛撫も早々に「舐めて」とか言ったもので。私もセックスってそういうものなんだろうって思っていたのだけれど。
一樹は、そういうのを求めてこない。
そして私にも、そういうのをしない。
(……っ、そんな強く、触ったら痛い)
普段の行動からは愛を感じるのに、行為の時の指先はどこか機械のようなで。
正直きつい。
でも私は「もっと優しく触って」とか、口に出すのが苦手だった。
気持ちの良いフリをして、自分で腰を動かして指をイイところに当てて、それで濡れて。
(……浅ましい)
こんな自分が、どんどん嫌になっていった。
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