第6話

[星矢、お弁当出来てるよ!]

[おっ!ありがとう。美月の

お弁当、最高に美味しいよ!]

[ハハハ、そんな事言っても

何にも出ないよ!]

[いや、本当だよ!]

[じゃあ行って来る!]

[行ってらっしゃい!]

(さぁ私も行かなくちゃ!)

共働きなので相変わらず、いや、

前より忙しくなった2人。

美月は帰りが遅い日が多い。

(美月、今日も遅いかな?そうだ

今日は俺が何か作ってあげよう!

待て!俺に出来る料理は?)

冷蔵庫を開ける星矢。

(鶏肉と玉子、野菜は?あっ

玉ねぎが有った、これで出来る

料理は?......オムライスだ!

でも出来るかな?)

星矢は1人、奮闘しながら何とか

出来た。

(出来た!後はオムライスの玉子の

上にケチャップでハートマークっと、

よし、出来た!早く美月帰って来ない

かな?)

[ただいま。]

[おかえり。]

[あれ?星矢、これどうしたの?

作ったの?]

[うん、たまには俺も作らないと

美月に、ばっかり、させてるから。]

[あの~この上の~]

[あ~それ?ハートマーク]

[うそっ!]

[えっ!見えない?]

[見えない、何か垂れ下がって来て

呪われてるのかと思った!]

[ヒドイよ!美月!]

[ハハハ]

笑う2人。

[うん、美味しいよ、星矢。]

[良かった~又作るからな!]

[ありがとう。]

お互いを思いながら本当に仲の良い

夫婦だった。

休みの日は必ず、ドライブに出掛けた。

[ねぇ、星矢、このお守りまだ、

ここに掛けてるの?意味無いよ!]

[いいの!俺が気に入ってるから。]

[そうなの?]

それでも忙しい2人にとっては楽しい

ドライブだった。

そして翌朝

[星矢、お弁当出来てるよ!]

[毎日ありがとう。なぁ美月?]

[うん?]

[俺さぁ~美月の帰り待ってる時に

夜空を見て気が付いたんだ。]

[なにを?]

[あのな?月の側には必ず1つ

だけ星が、くっついて耀いてるんだ、

まるで美月と俺みたいだなって!

美月は月だろう?俺は星矢だから

星、本当だから美月も今度、夜に

月を見て見ろよ!]

[うん、分かった!おくれるよ!]

[行って来ます。]

[行ってらっしゃい。]

(さぁ今日から又1週間始まる、

忙しいなぁ!)

何時もの様に出勤途中の星矢。

その星矢の車にダンプが突っ込んで

来た。

遠退く意識の中で星矢は、

[美月、美月!]

と呼んだ。

その頃、美月は

(ハッ!星矢?今、星矢の声が

した!)

何か胸騒ぎがしたが仕事に追われ

バタバタしていた。

星矢は、救急車で運ばれている。

[運転免許証を照会して家族に

連絡を早くしてください!]

美月は家を留守にしてるので

星矢の実家の電話が鳴る。

電話に出た星矢の母は必死に

美月の勤務先に電話をする。

[美月ちゃん、星矢が星矢が...]

[お義母さん、星矢が、どうしたん

ですか?]

[事故で今、病院に運ばれたって

連絡が有って...]

[どこの病院ですか?]

[市内の大塚病院よ!]

[分かりました、直ぐに行きます!]

美月は園長先生に事情を説明して

病院へ向かった。

星矢は手術室にいた。

看護士さんが通ったので状況を

聞いた。

[大変、危険な状況です。]

と言って中に入って行った。

星矢のお父さん、お母さん

私の両親も、やって来た。

みんな無言で手術室のライト

だけを見ている。

ライトが消えた。

先生が出て来た。

[意識不明の状態です、残念ですが

意識が戻る事は無いと思って下さい。

延命処置については、ご家族で

よく話をしてください。]

泣き崩れるみんな。

美月は

(そんな事は無い!星矢は何時も

私の側に居るんだから大丈夫!)

と自分に言い聞かせていた。

お義父さんが

[延命処置は、しないから。

意識が無いのに、どうしようも

無いだろう。]

[お義父さん、延命処置をして

下さい。星矢は、まだ生きてます!

お願いします。]

[美月ちゃん何も出来ない、何も

しゃべれない星矢を、あんな

機械に繋いで生かせているのは

辛いんだよ、分かっておくれ。]

(私も辛いよ!)

[分かりました。]

そして星矢は旅立った。

若干24才と、いう若さだった。


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