第5話

美月の入試の日、 あいにくの雨

だった。

美月がまだギブスをしていたので

試験の無い星矢は美月を試験会場

迄、送る事にした。

電車で行くのだが、ホームに着くと

雨で濡れている為、星矢が大きな声で

[美月、滑る、滑る。]

と言う。

周りは受験生ばかりなので[滑る]は

禁止用語だった。

それでも星矢は美月が心配で

[滑る、滑る。]

何度、言った事やら。

無事、星矢のお陰も有って入試は

終わった。

合格発表の日、もうギブスは取れて

いたが何故か一緒に見に来た星矢。

[美月、何番?]

[えーっと、1182番。]

[おっ!いいやつ、俺の事だな!]

[うまいじゃん!]

美月は笑った。

[1182]

[1182]

[有った、有ったよ!星矢!]

[おめでとう!美月!]

2人は電車で帰った。

分かれ際に星矢が

[なぁ~美月、高校卒業したら、もう

今迄みたいに会えなくなるぞ!俺は

6年間、美月の事が、ずーっと好き

だった。これを最後の告白にする。

俺と付き合ってください!]

美月は自然に

[はい。]

と答えた。

すると星矢は

[え~っ!今なんて?聞き間違い?

もう一回、言って!]

[はい、星矢付き合ってください!]

[やった~やったぜ~]

星矢は、大喜びだった。

2人の交際は美咲達だけでは無い、

星矢の気持ちを知っている、みんなが

祝福した。

[やっと、くっついたか~]

[これが理想のパターンよ!]

[仲良くね!]

[うん、ありがとう、みんな。]

[でも卒業したら、あんまり会えなく

なるね?]

[あっ!でも家近いし何とかなるよ!

みんなも彼と仲良くね!]

[ありゃ~美月に、そんな事を言われる

日が来るとは...]

[オーマイガー]

[ハハハ]


そして卒業式当日

[何か色々、有った3年間だったね。]

[でも楽しかったね。]

[本当、良い思い出が沢山出来た3年間

だったね。]

すると、みんなが窓の外を見て騒いでる。

[誰あれ?]

[何で、花束、持ってるの?]

[知ってる?]

[知らない。]

何事かと思い4人も窓の外を見る。

すると美咲が

[あれ、凉さんだよ!]

[え~っ!]

と3人。

美月は

(どうして凉さん居るの?何してるの?)

でも式が始まった。

そして無事、卒業式も終わり教室を

後にして学校から出る卒業生達。

みんな凉を見ている。

美月が通りかかると凉が

[美月ちゃん。]

と呼ぶ。

立ち止まる美月、すると美咲達が

[先にファミレス行ってるね。]

[うん。]

凉が

[美月ちゃん卒業おめでとう。]

星矢がやって来る。

[美月に何か用ですか?]

[少しだけ話をさせて貰えませんか?]

[美月どうする?]

星矢が、聞いて来た。

[行って来る。]

近くの喫茶店に入る美月と凉。

星矢は、ヤキモキしていた。

[美月ちゃん卒業したんだね、前は

ごめんね、俺の勝手な理由で、でも

今なら、もう一度美月ちゃんと

お付き合いしたい、駄目かな?]

美月は落ち着いた声で

[駄目です、もう遅いです。]

そう言った。

凉は

[じゃあ、この花束だけでも。]

と言い真っ赤なバラの花束をくれた。

[ありがとうございます。]

そう言って美月は店を後にした。

凉は

(そうだよな?自分勝手過ぎるよな!

でも美月ちゃん綺麗に、なってたな!)

店を出ると星矢が待っていた。

[あいつ何だって?]

[もう一回、付き合いたいって!]

[で、美月は?]

[ハハハ]

[何?]

[私には星矢が居るでしょう?

断ったよ!]

[やった~さすが美月!]

でも、その花束。

最後だからもらった。

[赤いバラか~美月、俺給料貰ったら

美月に花束プレゼントするから!]

[今日、美咲達とファミレスで

待ち合わせしてるから行って来るね!]

[じゃあ俺も、みんな待たせてるから

行って来るわ!]

[うん。]


[みんな、お待たせ~]

[どうなった?]

美月は美咲達に凉さんの事を話

した。

[偉い!美月、さぁ~今日は食べよう!]

[何時も、でしょう?]

[ハハハ]

楽しい時間だった。


そして大学に入学した美月。

美月は将来、保育士入試なろうと

決めた。

大学に入っても勉強に明け暮れていた。

その間も星矢とは仲良くしていた。

休みの日、星矢の運転の初デート。

星矢が花束を持っていた。

[はい、美月約束の花束!家に帰って

花言葉、調べて!]

桔梗の花束だった。

(桔梗の花束なんて初めて見た。)

車に乗る2人。

[あれ?これって!]

[気が付いた?]

そう修学旅行の時に美月が星矢に

買って上げた健康祈願のお守りが

ミラーの所に吊られていた。

[まだ持ってたんだね?でも星矢

これって健康祈願のお守りだよ!

交通安全じゃ無いよ?]

[分かってるよ、でも美月が

くれたのを飾りたくて!]

[でも自分で持って無いと、ご利益

無いんじゃ無い?]

[そうかな?]

とか言いながらデートを楽しむ

2人。

家に帰った美月は桔梗の花言葉を

調べた。

[永遠の愛、深い愛情]

星矢にピッタリだ!

平日は、お互い仕事に学校にと忙しい

日々を過ごしていた。

月日は流れて美月は保育士の資格も

とった。

そして、大学の卒業式を迎える。

[美月、卒業おめでとう!春からは

保育士なんだな?小さい子どもが

相手だから体力いるぞ~]

[うん、大丈夫!子ども好きだから

頑張るね!]

[美月、俺達、付き合って5年だろう?]

[そうだね。]

[結婚しないか?]

[そうだね、新しい出発!いい

タイミングじゃない?]

[よっしゃ~やった~]

星矢は何年経っても美月の事が

好きで好きで、いられないみたいだ。

両家の挨拶も無事終わり、婚礼の日も

決まった。

結婚式では、大泣きする星矢がいた。

来てる同級生は、みんな見て来て

知ってるので

[良かったな!良かったな!]

と言って星矢の頭を撫でる。

そんな星矢の姿を美月は愛おしい

眼差しで見ている。

(私達、夫婦に、なったんだ!

これから、もっと頑張らないと!)

そう誓う美月だった。



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