第107話 「なるほど」わからん

「はい?」


「いいか、俺は今までいろんな奴らに会ってきたが、こんなうまいものは初めて食べたぜ!」


「えっと、それはどうもありがとうございます」


「嬢ちゃん! 気に入った! 今日は泊まっていけ! 歓迎するぜ!!」


「わ、わかりました。ありがとうごぜえやす?」


「がははははは、なんでえその喋りは。おし、俺たちがその任侠弁だかなんだか、教えてやらあ!」


 お、なんだかわかんないけどまあいいか



「はい! お願いします!」


「おう! まかせとけ! おい、お前ら、飯の準備だ! 宴会すんぞ! 酒持ってこい! 嬢ちゃん達にはジュースだ! デレク、おめえは給仕係について料理の手ほどきを頼むぜ」


「はいはーい」


 こうして私たちはデズモオさんの歓迎を受けることになったのだった。


「よし、嬢ちゃん達はそこに座んな」


「は、はい」


 私は今デズモオさんの家の一室で椅子に座っている。


 あの後デズモオさんは「嬢ちゃん、ちょっと待ってろ」と言い残しどこかへ行ってしまった。


 しばらくして戻ってきたと思ったら、何かの箱を持ってきた。


「あのお、師匠、なんでやすか? この箱は」


「お、なかなかいい表現だったじゃねえか、師匠か、がはははははは。悪い気分じゃねえな。がははははは」


「あ、ありがとうございやす」

「がはは、気にすんな。それよりもこれだ!」


 そう言ってテーブルの上にどっかりと置いた。


 結構大きい。


「これは、なんでやすか?」


 デズモオさんは私の質問にニヤリとした笑みを浮かべる。


 そしておもむろに蓋を開けるとそこには


 ――刀!?

 それも二本もある!!


 しかもなんかすごく高そうな感じだ!


 デズモオさんが鞘から抜いてみせると、一本は真っ黒な刀身、もう一本は銀色の刃。


 すごい、綺麗


「師匠、こ、これは?!」


「こいつはな、東方の刀って逸品よ。普段は舎弟にも見せねえんだがな。おめえさんたちにはうまいもん食わせてもらった恩義があるからよ」


「でも、そんな大事なもの見せて頂いてもよろしいんでやすか?」


「がはは、心配はいらねえさ。そいつは俺の相棒だからな。それに、その刀は普通の人間には扱えねえ。この刀のそりを見ろ、美しいだろう?」


「確かに」


「がはは、この刀のそりは波紋っていうんだが、この刀はその美しさで人を魅了する。だが、それだけじゃこの刀は使い物にならねえ。この刀を使いこなすにゃあ、自分の気を流して使う必要があるんだ。簡単に言っちまえば、その刀を使うためには強い精神力が必要だってことよ」


「なるほど」


 わからん

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