第105話 任侠弁マスター?!

「さあ、ブースさんとやら。用は済みました。で? そのデズモオさん? どこにいらっしゃるんです?」


「デズモオ様は今屋敷だ。この町の中心部だ」


「ふむ、では案内してくれます?」


「……わかった。ついて来てくれ」

 そして一行は町の中心にある大きな建物までやってきた。


 その建物の中に入ると広いホールがあり、奥に大きな扉があり、そこには屈強な男達が並んでいた。


「こりゃまたたいそうなお出迎えですねえ。それにしても随分と人が多いようですね?」


「ああ、この領には俺達のような裏社会を取り仕切っている組織がいくつかあってな、デズモオさんはそのトップだからな。普段はここまで人数はいねぇんだが」

 そう言うと、デズモオのいる応接室に案内される。


 うーん、なんだか面倒くさい

 誰だよ、デズモオ


 お、そうだ


 良い事思いついた。


 これは

 チャンスなのではなかろうか?


 先ほどからの流れ

 任侠物じゃないか?


 ふふふふふ


 そうか、そうだったのか!


 そういうことか!



 応接室に着くと中には大柄の男がいた。

 見た目は50歳くらいだろうか。

 立派な髭を生やしている。

 そして、その男が口を開く。


「お前たちが最近この街を荒らしてるという連中か?」


「はい? 荒らしている?」


 いかん、違う。


「ふんっ、わしはデズモオという。それで、シャーナ殿、一体どういうつもりなのかな?」


「はあ? それは一体なんのお話でしょう?」


「とぼけるな。先程もうちのものが無礼な事を言っていたようだな」


「いえ、別に気にしてはおりませぬ」


 こうだな


「うちにもいろいろ事情ってもんがあるんだ、嬢ちゃん、その辺のところを汲んじゃあくれねえか?」


 お、やっぱり!


「そうおっしゃられても、あっしらにはなんのことだか、わかりんす?」


 くー、難しい!!


「おい、なんだその口調は。バカにしてんのか?」


「いえ、おバカにしてなどおりませんす。 あっち? あっし? にゃあ関わり合いのねえことでござる?」


 うーん、やっぱりこの口調は難しいなあ


「なんでいちいちこっちに聞いてきやがるんでい! こっちが下手に出りゃいい気になりやがって!」


「あのお、デズモオさん」


「なんでえ!」


「ちょっとだけ、待ってもらってよろしいです?」


「ん? どういうこった?!」


「いえ、あのお、本で得た知識しかありませんので教えていただけないでしょうか?! 任侠弁!  私、覚えたいんですよ! 任侠弁!!」


「に、任侠弁??????」


「ええ! ぜひ! デズモオさん、よろしくお願いします!」


 よし!

 これで任侠弁をマスターできるぞ!


 弁なのか?

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