第47話 ただちょっと気分で

 その刀の名は


 『カッビーキラー』


 …ダサくない???

 いやいや、ちょっと待ってよ!

 

 誰得よ?

 ダサい

 ダサイわ


 うそでしょ?

 嘘だと言ってよ!

 いや、まじで……

 何なの?

 このセンスのない名前は……

 もうね台無しよ


 確かに古めかしくてなんか見た目はやぼったいけどさ

 かわいい装飾がしてあってさ

 なんだか素敵な佇まいだよ?

 アンドリューと出会った時の本のように古いけど奇麗な感じ


 なのになんでカッビキラーなんて名前なのよ!


 そんなことを考えていると


「さあ聖女様、どうか持ってみてください!きっと何か感じるものがあるはずです!」


 って、言われても……

 これはちょっと……

 いや、かなり抵抗感があるわ……

 しかし、せっかくもらったものだし……

 とりあえず試してみるか……

 私は渋々刀を手に取った。


 あれ?

 なんか手にしっくりくるような気がしてきたぞ?

 よく見ると、刀身が少し光っているような……

 そう思った瞬間

 

 ピカァーーッ!!!!!


 私の身体を眩い光が包み込んだ。

 そして、その光は一瞬にして消えた。

 

 おおうっ!

 びっくりしたあー

 なんじゃこりゃあ!

 一体どうなったんだろう?

 

 自分の体を見回してみた。

 特に変わったところはないようだ。

 服はそのままだし、髪の色や長さが変わったということもない。

 しかし、胸元には見たことのないペンダントのようなものがついている。


 これはいったい何だろう?

 私は手にとって眺めてみた。

 きれいなピンク色をした宝石がついていて、ハート型をしている。

 何の石なのかはわからないが、とにかく奇麗だった。

 しばらく見つめていたが、何の変化もない。

 

 うん、まあいいか。


 私はまあわかんないけどそういうものかと思ってたけど…

 ああ、代表やおじいちゃんたちがそうはいかなかったか!!


 目を丸くして驚いている。

 そりゃそうだよねー こんな反応になるよね。

 私だってびっくりだもん。それにしても、おじいちゃんたち、口ぽっかり開けちゃってるよ。でも、すぐに正気に戻ったみたいで、 代表が聞いてきた。


「聖女様、それは…… もしや…… まさか……」


「いや、違うから! これ、ただのアクセサリーに変わっただけだからね! へんな勘違いしないで! これはカッビーキラーがただちょっと気分で…」


 私は慌てて否定したが、


「いえ、聖女様。 おそらく間違いありません。 その石には、この刀の刻印が刻まれております。 それは、かつてこの刀を使っていた一族と同じようです。」


 えっ!そうなの!?


「じゃあ、もしかすると、これで私にも何かの力が使えるようになったということ?」


「はい、その通りでございます。 そしてその剣に選ばれたということはやはり聖女様!」

「おお! ついに! それでは早速村をお救いください! 村のみんなも喜びます!」


 おじいさんたちが嬉しそうな顔をしている。


 うーん、喜んでくれてるみたいだけど…

 何の力を得たのかはよくわからんのだけど、 どうしよう?

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