第45話 …う、うん。いただきます

 ある程度収穫したので村長の家付近に集合、お腹すいたもんね

 デレク、期待してるぞ


 !!

 うわあ、すげえ

 なんつう豪華さだ

 おいしそうじゃん


 みんな席について食事開始


 タミコとセアラが作ったポトフに、デレクが作ったポテトサラダ、それに、デザートとしてパンプキパイ


 おい、どうしの?

 こりゃなんです?!

 消化にいいものって言ってなかった?



「いやあ、皆さん喜んでくれましたよ。皆さんよく手伝ってくださいましたね!」


いや、まあいいんだけどね


「そうですか、それは良かったです。でも、デレクさん、これは……」


一応ね

美味しそうだし

まあいいんだけれどもね


「大丈夫ですよ。しっかり食べれば問題ありません」


そういうものなんですかね?


「そ、そうなんですね?」


 こいつはやっぱり残念なイケメンなのではないか?



 ん?

 ピエタちゃん?

 なんでデレクの方にふらふらと?


「ピッピ~」


「あ、ピエタちゃん、ダメだよ、これは君のじゃない」


「ピー」


「え、欲しいのかい?」


「ピッ」


「あはは、しょうがないなあ」


 デレクはパンプキパイを手に取り、ピエタちゃんの口元に差し出す。


「はい、あ〜ん」


「ピ~♪」


「美味しいかい?」


「ピッ」


「ふふ、そうか、じゃあもっとあげよう」


「ピ~」


「あれ、そんなに気に入ったのかい? じゃあ、ほら」


 光景が。

 無駄にイケメンなだけに

 泣きボクロが…


 くうううううぅ!!

 まぶしい!


 だがしかあああし!



 ドコッ!

 うざい!!


 ピエタちゃんもいい加減にしなさい。


「い、痛いですよシャーナ様」


 ドカッ!

 バキッ!

 ゴトッ!


「もう、セアラさんとタミコさんまで」


「ピ〜」


「ごめんごめん。ありがとう、ピエタちゃん」


「ピ〜!」


 あ〜 もういい加減にしろよ


 ピエタちゃんが餌付けされていく


 そんなことよりもだ

 村長のおじいちゃんたちがよだれたらして待ってるぞ!


「コホン! えー、今日はいろいろありましたがいただきます!!」


 え? みんなお腹すいてんでしょ?

 いいよ、挨拶なんて


 いっただきま~す!!


 みんなも遠慮せずに食べてね! うめぇ! マジでうめえ! うめえ! おいしい! みんな大喜び。


 よかった、喜んでもらえたみたい。

 私もお腹すいた! 早く食べな。みんなの顔を見てるとこっちも嬉しくなって来るよ。


「ありがとうございます、聖女様。本当に、こんな日が来るとは思いませんでしたわい」


おじいちゃんたちがお礼を言ってくれる。


「うん、よかったね。これからは安心して暮らせると思う。この村はもう大丈夫だよ!」


「ありがとうございます、聖女様。本当にありがたいことですじゃ。ああ、この村を救ってくれた恩は一生忘れません。何かあればすぐに言ってくだされ、できることならなんでもやりましょうぞ。わしらはみんな、あなた様に救われたのです。心より感謝申し上げます。そして、何があってもあなた様をお守りすることをここに誓います。我らが聖女様」


 村長が立ち上がり、ひざまずいて頭を下げる。他のみんなも同じように頭を垂れた。

 私はびっくりしてしまった。


「ちょ、ちょっとやめてよ! いいから、ね? とにかく座ろう、ね?」


「おお、そうですな。失礼しました。さあ、わしらに構わずお食べください。どうぞ遠慮なく」


いや、あなた達のために作ったんだけれど


 言いづらいわ

 デレクのあほ!


「う、うん。いただきます」



 なんだか照れくさいけど、うれしいな。

 

 いや、ちょっとまって。

 

 聖女様?


 聖女様って何なのよ?

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