第36話 改めて飢饉

 できたあ!

 パンプキタルト


 しかしここで問題が発生する。


 冷ませ?

 冷まさなきゃなの?

 いやいやここまででものすごい手間ひまかかってますよこれ


 ここからさらに30分だと?


 本気か?


 いや、食べるでしょ

 食べいでか!


 気にせずいこう

 試食だもの


 そういうと全員が首を縦に振っている。

 アンドリュー、お前もか。


 よしオッケー

 食べよう


 型からは抜けないので匙ですくってお皿に乗せる。


「こ、これは〜! 美味しい〜〜!」


「うっまあ! お嬢、うますぎだぞこりゃあ!」


「美味しいですねえ」


「リーーーーーフ! リーフ! リフ!」


「美味しすぎますね、シャーナ様」


「ぉぃしぃ、ぉいしい、おいしい、美味しすぎですーーーーー!」


 タミコ、声が大きくなってる


 いやしかしほんとに美味しいなあ。


 甘さは控えめだけどもともとのパンプキの甘さがしっかり出ていてとっても美味しいね。

 タルト生地もサクサク、とっても美味しくできました。



 あっという間になくなっちゃいましたよ。美味しいはやっぱり正義だなぁとか思ってたんだけどね、だめじゃん。冷まして食べろと書いてあるのに食べちゃったじゃん、アツアツで全部。


 仕方ない

 デレク、デレク!


 何ボケっとしてんのよ

 次を作りなさい、次を!


 今から作り始めても夕食に間に合わない。レオシュ様の夜食用に作って、冷めたものも味見しようぜ!


 そういうと呆けてたカーゴさんも真顔になりデレクを手伝い始めた。


 再度のパンプキタルトを作るのに手を動かしながらカーゴさんが衝撃の一言を放つ。


「お嬢、めちゃくちゃ美味かったんだけどよ、これでな、ミルクがなくなっちまうぞ。次にミルクがこの館に届くのは再来週、しかも届く予定の定期便も規定の量の確保は怪しいみたいだぞ、どうすんだ?」


 なんだとおおおおお

 ミルクは必需品だよ

 届かないとかありえないわ


 カーゴさんに聞くとミルクは家畜化した牛の魔物から採れるとのことだが飢饉で牛の頭数が減り餌もなくミルクの出も悪くこのままでは生産自体もできなくなるそうだ。


 ちょっと待ってもらおうか、カーゴさん。

 なんでそんな大事なことを言わなかったのよ


 ついでに他に無くなりそうな食材を聞くと、砂糖、胡椒、油、酒、酢だそうです。塩は領内の山から岩塩が採れるんだって。それもあって飢饉でも塩と水だけは確保できてるからまだなんとかなってるんだと。


 塩以外全部じゃん

 だめじゃん


 これはなんとかしなければ

 美味しいお料理が食べられないじゃないか!!


 食材の産地なんて今まで本で見た知識だけで実際に気にしたこともなかったけど、飢饉ってこりゃほんとに大変なんだねえ


 ん〜

 これは誰がどうやって解決するんだ?


 わからん


《わからないときはレオシュに聞け》

 ということわざを思いついたので早速夕食の時に聞いてみよう。


 えーと

 とりあえず気になるのは飢饉の現状と野菜や果物、畜産関係の産地と食料の収穫予測と価格かなあ


 なんだこれ

 ものすごくできる人が考えるやつじゃん!

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